マーケティング2.0(Marketing2.0)
20世紀後半(日本では概ね1980年代前後)から主流になった、最も昨今の消費者やビジネスパーソンにとってなじみ深いマーケティングの手法。マーケティング1.0が製品主導でその売り方を考えていたのに対し、マーケティング2.0ではまず顧客の視点に立ち、彼らのニーズを捉えた製品を提供しようとする。重要なキーワードは差別化であり、競合とは異なった価値を提供すること、すなわち競合とは違ったポジションをとることに力点が置かれる。
マーケティング2.0が台頭してきた背景にあるのは、経済成長に伴って競合が増えてきたこと(つまり、顧客の立場から見たときに選択肢が存在するようになった)と、顧客が製品の使用体験を積み、洗練されてきた等の事情である。
マーケティング2.0では、顧客視点に立って彼らのニーズや顧客満足度を満たすことと、いわゆる「STP-4P」に代表される科学的なアプローチで費用対効果の高い「買ってもらえる仕組み」をつくることに力点が置かれる。
これは現代でもさまざまな場面で通用する考え方であり、実際、多くの企業がこのアプローチを用いている。しかし、多くの業界で、市場が飽和し、企業のマーケティングに対する理解も進んだ結果、差別化をしようとしてもなかなか他社を出し抜くのは容易ではなくなっている。業界によっては、似たような方向でのわずかな差別化を巡って企業が体力を消耗するような「差別化のジレンマ」が起こるケースも少なくない。