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MBA経営辞書「マーケティング1.0」

投稿日:2014/03/31更新日:2019/04/09

マーケティング1.0(Marketing1.0)

マーケティングの最も初期の段階の形。顧客に他の製品を選択する余地はほぼなく、あるニーズを満たす製品の開発とその製品を知らしめるプロモーションが活動の鍵となってくる。

マーケティング1.0の最も典型的な例とされるのが、ヘンリー・フォード率いるフォードモーターによって1907年から市場導入された「T型フォード」(「フォード・モデルT」)の生産、発売である。T型フォードの特徴としては、ほぼ20年間にわたる生産期間の間、基本的に単一の車種を売り続けたことにある。これが実現できた背景としては、製品の完成度に加え、特に初期の段階においては競合に対して圧倒的なコストパフォーマンスを誇り、多くのタイプの品揃えが必要なかったことにある。フォードにとってみれば、「つくれば売れる」という状況であり、彼らの関心はもっぱら生産の合理化、コストダウンと、サービス体制の拡充にあった。

フォードの「同じものでもつくればそれだけ売れる」という姿勢は、“youcanhaveanycolouryouwantaslongasit'sblack.”という言葉に色濃く表れている。T型フォードの色は黒のみであったが、これはもちろん他の色に対するニーズがなかったことを示すものではない。そうしたニーズにいちいち応えるまでもなく、消費者に対して圧倒的に優位な立場を築けていたことを意味する。

なお、マーケティング1.0は、主に20世紀前半の「売り手が強かった時代のマーケティング」を含意することが多いが、現代でもマーケティング1.0的なアプローチが機能する状況は十分に起こりうる。たとえば、HIVやマラリアに対する特効薬が登場すれば、それは「つくっただけ売れる」という状況を十分にもたらしうる。つまり、強いニーズがあり、他に有力な競合がいなければ、マーケティング1.0的なアプローチでもいまなお企業は十分に売上げや利益を上げうるのである。

  • 嶋田 毅

    グロービス経営大学院 教員/グロービス 出版局長

    東京大学理学部卒、同大学院理学系研究科修士課程修了。戦略系コンサルティングファーム、外資系メーカーを経てグロービスに入社。累計150万部を超えるベストセラー「グロービスMBAシリーズ」の著者、プロデューサーも務める。著書に『グロービスMBAビジネス・ライティング』『グロービスMBAキーワード 図解 基本ビジネス思考法45』『グロービスMBAキーワード 図解 基本フレームワーク50』『ビジネス仮説力の磨き方』(以上ダイヤモンド社)、『MBA 100の基本』(東洋経済新報社)、『[実況]ロジカルシンキング教室』『[実況』アカウンティング教室』『競争優位としての経営理念』(以上PHP研究所)、『ロジカルシンキングの落とし穴』『バイアス』『KSFとは』(以上グロービス電子出版)、共著書に『グロービスMBAマネジメント・ブック』『グロービスMBAマネジメント・ブックⅡ』『MBA定量分析と意思決定』『グロービスMBAビジネスプラン』『ストーリーで学ぶマーケティング戦略の基本』(以上ダイヤモンド社)など。その他にも多数の単著、共著書、共訳書がある。
    グロービス経営大学院や企業研修において経営戦略、マーケティング、事業革新、管理会計、自社課題(アクションラーニング)などの講師を務める。グロービスのナレッジライブラリ「GLOBIS知見録」に定期的にコラムを連載するとともに、さまざまなテーマで講演なども行っている。

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