行動観察(Behaviorobservation)
人々の行動を入念に観察することで、彼らの行動の裏にある意識していない(できない)心理に迫ろうという手法。
通常の消費者アンケートなどでは、たとえばある商品を買わなかった理由を尋ねると、「価格が高かった」「自分には似合わないと思った」など、合理的な理由を挙げる消費者が多い。多くの人は他人から合理的な人間と見られたいからだ。しかし、行動観察でその人の行動を観察すると、そうしたアンケートからは見えてこない、合理的でない行動が観察されることがある。そこから深層心理に関するヒントを得ることができる。
また、人々は自分の行動を逐一は覚えていないものである。ある商品カテゴリーについて何分くらい購買を検討したか、どの商品とどの商品を比べたかなどは、すぐに記憶が曖昧になるものである。だからこそ第三者の目で客観的に観察すると新しい発見に結びつくのである。
行動観察は、できればインタビューとセットで行うとよい。まずは行動をじっくりと観察した上で、後でなぜそういった行動を取ったのか、観察自身にも分からない相手の深層心理を聞いてみるのである。その際、自分の仮説をダイレクトに相手にぶつけない方がよい。往々にして相手を誘導することになってしまうからだ。誘導尋問にならないように、相手の言葉にならない気持ちを丹念に探り当てる必要がある。
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