フルーガル・イノベーション(FrugalInnovation)
直訳すると「質素なイノベーション」あるいは「倹約イノベーション」。余計な飾りを取り除き、本質的な機能そのものに立ち返ることで、特に新興国やBOP市場の人々のニーズを満たそうという発想。先進国の製品開発が、似たような差別化(しかし消費者にとっては区別しにくく、本質的でもない)をしようとして「差別化の罠」に陥っているのに対し、フルーガル・イノベーションでは、そうした行為は無駄と考える。
通常、フルーガル・イノベーションには、従来型の製品や工程を再設計して不必要なコストを徹底的にカットすることが求められる。それを最もわかりやすい形で実現したのがインドの自動車メーカーのタタだ。タタは、インドの多くの人々にとって十分と思える機能を徹底的なフルーガル・イノベーションで実現し、市場シェアを獲得した。
リバース・イノベーションが先進国企業主導で行われるのに対し、フルーガル・イノベーションはローカルな現地企業の手で行われることが多い。そのため、フルーガル・イノベーションを実現した企業は、自国では優位な立場を築けても、その技術や製品を先進国に輸出しようとするとさまざまな参入障壁(ブランド投資、チャネル確保、規制など)にぶつかることが多いと言われている。
▼「MBA経営辞書」とは
グロービスの講師ならびにMBA卒業生など、幅広い分野から知を結集して執筆された、約800語の経営用語を擁する辞書サイト。意味の解説にとどまらず概念図や具体例も提示し、マーケティング、ファイナンスなどの分野別に索引できる。今後、検索機能ほかサイト機能の追加を行う一方、掲載用語を1000語程度まで拡充した上でサイト上でのご意見の収集ならびに監修の実施を通じた更なる精緻化を図り、グロービス編著のベストセラー書籍『MBAシリーズ』と併読いただける書籍として出版を予定している。