消滅性(Perishability)
サービス・マネジメントにおける「サービス」の特徴の一つ。サービスは提供と同時にその場で消滅し、蓄えておく(在庫しておく)ことができないことを指す。サービスの同時性と強く関連している。
在庫できないという特性は、提供者サイドにとっては、需要の見極めやそのコントロールが重要な意味を持つことを意味する(これは同時性とも関連する)。たとえば、レストランにおいて大きな需要がある時間に調理師やフロアスタッフがいないと、みすみす売上げの機会を逃すことになるし、逆に需要がないときにスタッフが多くいるとコスト上昇を招くことになる。宿泊業や旅客業では、「今日売りそこなった空き室(空き席)は未来永劫売れない」という言いならわしもある。それゆえ、キャパシティ・マネジメントや需給ギャップの予測・調整が、サービス・マネジメントにおいても重要な位置を占めているのである。
また、サービスの消滅性は、利用者側がそのサービスを再利用できないことをも意味する。これについては、ビジネスにもよるが、ある程度の再利用を可能とすることで、顧客の便益や満足度を高める試みもなされている。たとえば、映画館での鑑賞はその場限りであるが、DVDなどを活用すれば、気に入った映画を再び楽しむことも可能となる。
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