コア・コンピタンス(CoreCompetence)
顧客に対して、他社には真似のできない自社ならではの価値を提供する、企業の中核的な力。G・ハメルとC・K・プラハッドの定義による。
内部に培った様々な能力のうち、競争のための手段として最も有効なものを指す。特に、バリューチェーンの特定の機能に固有の強みを指して用いられることが多い。
たとえば、スポーツシューズ・メーカーのナイキは、ブランドそのもの、そしてその裏側にあるブランドを構築し育てる能力に秀でている。他社製品と比べて技術面や品質面で大差がなくても、消費者がナイキのシューズに対して高い価値を感じるのは、同社のブランド育成に関する能力に負うところが大きい。
あるいは、多くのテクノロジー企業は、研究開発力をそのコア・コンピタンスとしている。その他にも、物流ネットワーク(運送会社他)、生産方式(製造業)、与信・回収ノウハウ(金融業)、顧客接点(小売業他)など、さまざまなものが相当しうる。企業は何をコア・コンピタンスとすべきかを見極め、長期的に培っていかなくてはならない。
コア・コンピタンスの観点から競争優位を持続させるには、1.模倣可能性(Imitability)、2.移転可能性(Transferability)、3.代替可能性(Substitutability)、4.希少性(Scarcity)、5.耐久性(Durability)の5つのポイントを見極めることが必要だ。
一般的に、1、2、3の可能性が低いほど(他社が簡単に真似したり保有したりすることが難しく、代替品も少ない場合)、また??が高いほど(手に入りにくく、耐久性に優れている場合)競争優位性が持続しやすくなると言われる。どの要素が有効かは市場環境や競争環境、商材のタイプによって異なる。
なお、一度コア・コンピタンスを構築し、競争優位を築いたとしても、経営環境の変化とともに陳腐化する可能性があるため、継続的な投資やコア・コンピタンスの再定義、新たな能力の育成などの努力が欠かせない。
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