交渉スタイル(Styleofnegotiation)
交渉に臨むスタイルのこと。立場駆け引き型交渉、原則立脚型交渉といった分類以外にも、さまざまな分類方法がある。
いずれにせよ、どのスタイルで交渉に臨むのがいいかといった準備と、自分はどのスタイルをとりがちかという自己認識が重要である。望ましい交渉スタイルと、自分の取りがちなスタイルに齟齬がある場合、望ましい交渉結果が得られない可能性が高まる。
たとえば、交渉者が交渉結果を重視するのか、人間関係を重視するのかという二つの軸でマトリックス状に交渉スタイルを分類すると、以下の4パターンに分類できる。双方がバランス重視型をとるのが望ましい状況にもかかわらず、一方が人間関係重視型、一方が取引重視型の交渉スタイルをとると、後者のほうが、少なくともその交渉においては有利な結果を得やすくなる。
1.バランス重視型
利害関係と人間関係の両方を重視する必要があるケースでとるのが望ましい交渉スタイル。
たとえば業務提携をする際のマネジメント同士の交渉や、継続的な取引を前提に新しい商品やサービスを売り込みに行くケースなどが該当する。あまりゲーム的に割り切ってシビアに交渉をすると将来の関係にしこりが残りかねない。ただし、一定の経済的成果は得ないといけないのでソフトすぎてもいけないのだ。
2.人間関係重視型
経済的な見返りはあまり関係なく、人間関係の円滑さが最重要視されるというケースにフィットする交渉スタイル。
ビジネス上の交渉では経済的見返りを完全に度外視するわけにもいかないが、それでも人間関係本位で交渉が進むということはしばしばある。新卒採用などはそういう側面が大きいと言える。また、本来あるべき姿かどうかは別として、企業買収や合併などでは、トップ同士の人間的相性で決まるというケースも散見される。
3.取引重視型
将来の人間関係への影響は比較的軽視し、経済的な利害のみに絞ってゲーム的に交渉できるケースにフィットする交渉スタイル。
権利の売買など一回きりの関係であろうことが予想できる取引や、市場取引などで自己の個性を埋没させることができる状況などが該当する。
4.暗黙の協調型
将来の人間関係も、経済的な利害も、それほど重視されないケースにフィットする交渉スタイル。
大企業における社内共有スペースの利用の仕方などのように、誰が当事者になろうとも、さほど結果にこだわる人もいないが、何らかの決めごとは必要である、といったシーンに用いられる。
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