ストローマン(strawman)
相手の意見を正しく引用せず、捻じ曲げて引用し、それに反論するという論法。日本語で「藁人形論法」ということもある。しばしば、「とんでもないことを言い出すやつだ」といったように、相手を強く攻撃する際に用いられる。
ストローマンは、論点のすり替えの一種でもある。つまり、相手が問題にもしていない論点をでっち上げ、それに対して攻撃するのである。
ストローマンにはいくつかのバリエーションがある。典型的なのは以下のようなものだ。
・形式論理学的に誤り1
「男たるもの、家族の人生に責任を持たなくては」
「じゃあ、君は、女性は家族の人生に責任を持たなくてもいいと言うのだな」
・形式論理学的に誤り2
「男たるもの、家族の人生に責任を持たなくては」
「家族の人生に責任を持っている女性の立場をどう考えているんだ」
・文脈から切り離して一部を引用
(……ですのでデフレ下においては、株主の視点からも)「企業がキャッシュを株主に即還元しない方が良いというケースもありうるわけです」
「株主の利益を無視するというのだな」
・文脈から切り離して一部を意図的に誤用
(新卒採用を抑制するような、しかも、仕事のできない人間すら庇うような)
「正社員の『過剰』保護には反対だ」
「正社員の雇用に手をつけるべきなんて、経営者の責任を果たさないのか」
ストローマンは、しばしば、聞き手の情動に訴えかける形をとる。少なくとも、直接対話しているシーンでは、相手がストローマン的な引用をしたときには、すぐさま指摘することが必要である。
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