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MBA経営辞書「集団浅慮」

投稿日:2011/08/01更新日:2019/04/09

集団浅慮(GroupThink)

集団の圧力により、その集団で考えていることが適切かどうかの判断能力が損なわれる状況。集団浅慮の結末として、往々にしてリスキーシフトと呼ばれる現象が起こる。これは、グループでの意思決定は、極端な方向に振れやすいという現象である。たとえば、不確実性の高いプロジェクトに誰も反論せず、会社として非常にリスクの高い意思決定をすることになってしまうなどだ。

集団浅慮の研究で著名な心理学者アーヴィング・ジャニスは、集団凝集性(集団の構成員を集団にとどまらせようとする力)が高く、クローズドな環境である、あるいは外部からのプレッシャーが大きいときなど、条件が重なったときに、集団浅慮が発生しやすいと指摘している。

また、『「空気」の研究』で著名な山本七平は、こうしたジャニスの指摘に加え、日本では、「『空気』の支配」というものがあると指摘している。これは、当事者以外には説明しにくい「場の空気」に誰も逆らえない結果、誰が決めたということが曖昧なまま、意思決定がなされてしまうというものだ。その最も有名な例が第二次大戦である。山本氏は、ディシプリンの欠如などを、こうした日本的集団浅慮の原因として指摘している。

集団浅慮を避け、グループによる思考を適切に行うために、ジャニスは次のような防止策を提案している。

・集団のリーダーは、各メンバーが批判者の役割を果たすように鼓舞する。
・集団の中心的人物は、最初から自分の好みや期待を述べることを控えて公平な姿勢をとり、数多くの選択肢の
探索を行うように部下を鼓舞する。
・集団の外部に、別のリーダーをもつ立案・評価グループを設置する。
・集団が最終結論に達する前に、各メンバーが集団の原案について同僚と討議し、それを集団にフィードバック
する期間を設ける。
・外部から専門家を招いて、集団の中核的メンバーの見解に挑戦させてみる。
・集団がとるべき選択肢を評価するとき、多数意見に挑戦するDevil'sadvocate(悪魔の代弁者)役を設ける。
・集団を2〜3個の下位集団に分けて、異なる司会者のもとに別々のミーティングを持ち、下位集団の意見を持ち
寄って検討を重ねる。
・最善の策と思われるものについての予備的合意に達した後、第二の合意を得るためのミーティングを開いて、
それぞれのメンバーが積み残している疑念を率直に表明するようにする。

▼「MBA経営辞書」とは
グロービスの講師ならびにMBA卒業生など、幅広い分野から知を結集して執筆された、約700語の経営用語を擁する辞書サイト。意味の解説にとどまらず概念図や具体例も提示し、マーケティング、ファイナンスなどの分野別に索引できる。今後、検索機能ほかサイト機能の追加を行う一方、掲載用語を1000語程度まで拡充した上でサイト上でのご意見の収集ならびに監修の実施を通じた更なる精緻化を図り、グロービス編著のベストセラー書籍『MBAシリーズ』と併読いただける書籍として出版を予定している。

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