範囲の経済性(Economiesofscope)
範囲の経済性とは、経営資源を他事業と共有化することで、その事業単独でやったのでは実現できないコストメリットを得ることを指す。シナジー(相乗効果)と意味合いはかなり近い。
事業が異なっていても、費用を共有できる場合、単独で一方の事業のみを行う企業よりもコスト優位に立てることがある。たとえば、生理用品事業と使い捨てオムツ事業は、技術開発(吸水体技術など)、原材料仕入れ、営業(対スーパー、ドラッグストアなど)といった様々な企業活動に関して経営資源の共有、すなわちコストの共有ができるため、どちらか一方の事業を単独で行う企業よりもコスト優位に立てる。事実、この2つの事業については、わが国では、シェアに差はあるものの、ユニ・チャーム、花王、P&Gの3社がトップ3を占めている。ユニ・チャームなどは、吸水体技術を軸に、ペットケア事業(ペットのトイレシステムなど)を拡大し、ユニ・チャームペットケアという子会社を成長させた。
なお、範囲の経済性が効くからといって、必ずしもその事業で成功できることを意味しない。むしろ、油断から事業運営がおろそかになり、かえって競争力を落としてしまう例も少なくない。
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