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MBA経営辞書「分散型事業」

投稿日:2011/02/28更新日:2019/04/09

分散型事業(Fragmentedbusiness)

分散型事業とは、アドバンテージ・マトリックス上において左上に位置する事業であり、事実上大企業のいない業界である。構造的に「大きくなりにくい事業」とも言える。通常、地域密着型の事業や、事業拡大によるコストダウンの余地が小さい事業が典型的である。たとえば、美容室業界では多種多様なプレーヤーが、立地、価格、サービスメニュー、接客、カット技術、店の雰囲気、ネームバリューなどを武器に絶対的決め手のないまま競争を繰り広げている。ファッション性の極めて高いブティックなどもこの事業タイプに該当する。M・E・ポーターはこの事業タイプを、多数乱戦業界と呼んだ。

こうした事業では、成功や収益性は、そのときどきの企業の頑張りや工夫などに左右されやすい。オーナーの資質に非常に大きく左右されやすい事業とも言える。投資規模が比較的小さいこともあって、新規参入や敗者復活が日常化しているのも分散型事業の特徴と言える。

ただし、分散型事業であっても、工夫次第で特化型事業あるいは規模型事業への転換を図ることは不可能ではない。たとえば理容業界では、QBハウスがフランチャイズ方式を活用しながら、画一的なサービスを展開し、またITに大きく投資することで、規模型事業への脱却を図った。あるいは、かつてのレストラン業界では、すかいらーくなどを筆頭に、セントラルキッチン方式を導入することで規模効果を効かせ、分散型事業から脱却する試みが見られた。

▼「MBA経営辞書」とは
グロービスの講師ならびにMBA卒業生など、幅広い分野から知を結集して執筆された、約700語の経営用語を擁する辞書サイト。意味の解説にとどまらず概念図や具体例も提示し、マーケティング、ファイナンスなどの分野別に索引できる。今後、検索機能ほかサイト機能の追加を行う一方、掲載用語を1000語程度まで拡充した上でサイト上でのご意見の収集ならびに監修の実施を通じた更なる精緻化を図り、グロービス編著のベストセラー書籍『MBAシリーズ』と併読いただける書籍として出版を予定している。

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