ディスカウンテッド・ペイバック・ピリオド法(DiscountedPaybackPeriodMethod)
将来のキャッシュフローの現在価値を求め、その数値を使ってペイバック・ピリオド(投資回収期間)を求める方法。
通常のペイバック・ピリオド法では、シンプルに、初期投資が何年で回収できるかを実額で計算する。その方法の優れた点は「容易さ」だ。簡単な足し算をするだけで、投資判断ができる。また、もう1つの良さとして、投資に伴うリスクを判断する基準になるという点がある。投資額に相応するキャッシュフローが得られるまで、資金はその投資にしばられている。銀行借入で調達したならば、借りたのと同じ額を稼ぎ出すまで、借入を返済できない。したがって、投資回収期間が長くなればなるほど、プロジェクトの魅力は下がるのである。
一方で、ペイバック・ピリオド法の欠点として、現在価値の観念がまったく入っていないという点がある。5年目の1000万円のほうが1年目の1000万円よりも現在価値は小さいはずであるが、ペイバック・ピリオド法では、両方をまったく同じに扱うのである。
この問題を解決するため、適切な割引率を設定して毎年のキャッシュフローの現在価値を求め、その数値を使って投資回収期間を求める方法としてディスカウンテッド・ペイバック・ピリオド法が生み出されたのである。
ただし、ディスカウンテッド・ペイバック・ピリオド法を採用した場合でも、投資回収期間以降のキャッシュフローは相変わらず無視されるという問題は残っている。投資回収後のキャッシュフローの現在価値がゼロであっても100億円であっても、投資回収期間さえ同じなら、同様の評価になってしまうという弱点は相変わらず残っているのである。
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