状況応変型リーダーシップ(versatilityleadership)
パス・ゴール理論を実践的に単純化し、現実的な運用を目指したリーダーシップ・モデルの1つ。
状況応変型リーダーシップ・モデルは、自分と相手のタイプを4領域から選択し、相手のタイプに意識的に適合するコミュニケーション・スタイルを実践することを主張している。この点で、条件適合理論モデルの1つに分類できる。
状況応変型リーダーシップ・モデルは、リーダーの「思考パターン」と「コミュニケーション・パターン」の2軸の組み合わせにより、リーダーシップ行動を定義している。「思考パターン」の軸は、感情重視型か論理重視型かを示し、「コミュニケーション・パターン」の軸は、結果重視型か要因重視型かを示している。この2軸によって、4種類のリーダーシップ・スタイルが定義される。すなわち、論理と結果を重視する「結果重視型(directive)」、論理と要因を重視する「分析重視型(analytical)」、感情と結果を重視する「理念重視型(expressive)」、感情と要因を重視する「感情重視型(amiable)」である。
結果重視型はいわゆる組織のボス的な存在で、手順や詳細な言い訳などには無頓着だが、結論や結果にはこだわる。分析重視型は、論理性にはこだわるが、結果よりもむしろ経緯や手段、緻密さを重視する。理念重視型は、論理的な行動結果よりも行動の主義や理念を優先し、「筋を通す」こと、あるいは理念にそった行動を重視する。感情重視型は、論理的な整合性よりも人間感情を重視し、かつ行動結果よりも人間関係の維持を重視する。
なお、状況応変型リーダーシップは、1990年代初頭よりGEのリーダーシップ研修などで活用されている。