会計システム(Accountingsystem)
会計システムは、経理・財務会計という基礎インフラと、組織の生産性を高めるための管理会計にブレークダウンできる。
ベンチャー企業などでは、優先させるべきは経理・財務会計のほうだ。「どれだけ売上げが立っているのか」「どれだけ費用がかかっているのか」という数字がなくては、投資や人員採用などの意思決定を下しようがないからだ。
現実には、たとえば創業直後は、銀行口座の残高と受注残からのラフな数字で経営を進めなくてはならない局面も往々にしてある。しかし、ある程度事業の規模が大きくなってきたら、経理に明るい人間を採用し、財務数字を的確に把握できる体制を早期に構築すべきである。
経理・財務会計の仕組みができてきたら、次に管理会計の仕組みを構築していく。そのなかでも優先順位が高いのが、予算実績管理の仕組みづくりである。これにより、「行き当たりばったりの経営」を脱し、「計画的に行動し、計画と実績との乖離があれば原因を特定して修正できる体制」を構築できる。
多くの企業では、予算実績管理に当たって、いわゆる財務数字のみを用いる場合があるが、そうした財務数字にとらわれず、事業の意思決定を下す上で役に立つ重要業績指標(KPI:KeyPerformanceIndicator)を見極め、その目標と実績の管理を行うことも有効だ。具体的には、納期遵守率、不良品発生率、顧客訪問件数、既存顧客リピート率などである。これらは、極力業務プロセスに連動させながら設定し、時系列で測定しておくと、環境変化を見極めたり、問題解決に役立てやすい。
会計システムに関してよくある過ちは、事業サイドの要請がないにもかかわらず、複雑な「身の丈以上の仕組み」を導入しようとして経営資源を無駄遣いしてしまうことだ。流行の経営ツールに飛びついたり、徒にKPIを精緻化して数字の山に埋もれてしまうのではなく、本当に必要なものを見極めながら仕組みをつくる姿勢が求められる。
▼「MBA経営辞書」とは
グロービスの講師ならびにMBA卒業生など、幅広い分野から知を結集して執筆された、約700語の経営用語を擁する辞書サイト。意味の解説にとどまらず概念図や具体例も提示し、マーケティング、ファイナンスなどの分野別に索引できる。今後、検索機能ほかサイト機能の追加を行う一方、掲載用語を1000語程度まで拡充した上でサイト上でのご意見の収集ならびに監修の実施を通じた更なる精緻化を図り、グロービス編著のベストセラー書籍『MBAシリーズ』と併読いただける書籍として出版を予定している。