ニッチ戦略(Nichestrategy)
市場の隙間(ニッチ)を狙い、そこで相対的な優位なシェアを得、収益を上げる戦略のこと。マイケル・ポーター教授の提唱する基本戦略のうち集中戦略とほぼ同義である。
ニッチ戦略では、選んだ事業分野でナンバー1、さらにオンリー1になることが望ましいとされる。
ナンバー1企業を目指すべき理由としては以下が挙げられる。
(1)市場シェアが獲得できるほど、規模の経済性や経験効果が働いて収益性が向上する。これに対し、成長性が高いという理由だけで、他社に追随して競争の激しい市場に参入しても、市場シェアがとれなければ、コストがかさむだけで収益性は低くなる。
(2)顧客は一事業分野(カテゴリー)では、一企業(あるいはブランド)しか認識しないことが多い。DVDレンタルであればTSUTAYA、日本のアパレルSPA(製造小売業)であればユニクロ、というようにナンバー1企業でなければ顧客の頭にはなかなか認識されにくい。
なお、当初はニッチであった市場が、成長とともに、巨大な市場になることも珍しくない。たとえば、海外向け格安旅行チケットは当初ニッチ市場であったが、海外旅行ブームやツアー旅行離れもあって、巨大な市場となった。その結果、初期にナンバー1のシェアをおさえたエイチアイエスが、市場の伸びに歩調をあわせて急成長していったのである。
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