ニーズ発想(Needs-orientedthinking)
顧客のニーズ、欲求をベースに、「このような商品や事業があれば受け入れられるだろう」と考える発想方法。
典型的なニーズ発想のヒントがあるのは、困っている、不便だといったところである。たとえば、自分が病院で診療をしてもらうときに、本当にその病院、その医師が自分にとって最適なのかと不安に感じるのは、多くの人が経験することだ。相談したら最適な病院、医師をコーディネートしてくれる、そんなサービスがあったら利用してみたいというニーズがあるのではないか——ニーズ発想では、このように発想を進めていくと効果的だ。
なお、一般に、生産財ビジネスでは、顧客ニーズは直接(物理的な)機能となることが多い。一方、消費財ビジネスでは、物理的な機能以上に、情緒的な価値が求められることが多い。したがって、消費者の目線に立ち、どのような情緒的価値が求められるのかをイマジネーション豊かに考えてみることが必要だ。
ニーズ発想は、顧客のニーズから発想していくので、実現すれば市場には受け入れられやすい反面、独自技術など、自社の強みを生かせないケースに陥りがちという弱点もある。市場の魅力度はあるものの、自社の強みを生かしきれていない事業に参入するなどは、その弱点を克服できない失敗例である。また、ソニーの「ウォークマン」のような、それまでにないまったく新しい市場を開拓する商品を生み出すのには向いていないことも多い。
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