ブランド・ロイヤルティ(BrandLoyalty)
顧客がブランドに対してどの程度忠誠心または執着心を持っているかということ。ブランド・エクイティを構成する要素の1つ。
ブランド・ロイヤルティにはいくつかのレベルがあり、仮に特定のブランドを繰り返し購入している顧客であっても、その理由は様々である。たとえば、顧客が継続購入する理由には以下のようなものがある。
(1)もっと価格が安い、あるいは便宜性の高い製品があれば、次回はそちらに乗り換えたいが、たまたま他に良い選択肢がなかった。
(2)特に不満はなく、他のブランドを探す理由がない。習慣化している。
(3)満足しているし、他のブランドに乗り換えるのには時間やお金がかかり、パフォーマンスや品質面でのリスクなどもあって、スイッチング・コストがかかる。
(4)愛着がわいたため、他のブランドに切り替えにくい。
(5)そのブランドに惚れ込み、ユーザーであることを誇りに思っているので、他のブランドに切り替えることなど考えられない。
言うまでもなく、顧客基盤としての安定性や競合に対する優位性は、番号が大きくなるにつれてより強くなる。ブランドにコミットしてくれる顧客を増やし、また、コミットの度合いを強化することがブランド・エクイティ向上につながる。
ブランド・ロイヤルティが他の要素と異なっているのは、ロイヤルティは通常、使用経験者に限られる点である。使用経験者による知覚品質やブランド連想は、未使用者のそれよりも実体験に基づいている分、現実的であり、潜在顧客に対して影響力を持つ。
ロイヤル・カスタマーは、安定的な売上げや利益に直接的に貢献するだけでなく、そのブランドのあるべき姿に関して愛情と強い意見を持ち、ブランドにとっての重要な示唆を与えてくれる。したがって、ブランド・ロイヤルティは、ブランド・エクイティの要素の中でも最も重要な要素ともいえる。
次回は「コーポレート・ブランディング」を取り上げます。
▼「MBA経営辞書」とは
グロービスの講師ならびにMBA卒業生など、幅広い分野から知を結集して執筆された、約700語の経営用語を擁する辞書サイト。意味の解説にとどまらず概念図や具体例も提示し、マーケティング、ファイナンスなどの分野別に索引できる。今後、検索機能ほかサイト機能の追加を行う一方、掲載用語を1000語程度まで拡充した上でサイト上でのご意見の収集ならびに監修の実施を通じた更なる精緻化を図り、グロービス編著のベストセラー書籍『MBAシリーズ』と併読いただける書籍として出版を予定している。