ブランド・エクイティ(BrandEquity)
ブランドの持つ資産的価値のこと。
かつて、ブランドはその実体がとらえにくく、資産として計上されることは稀だった。しかし最近では、ブランドの売買が日常的に行われてきたこと、さらに、ブランド力や人材力などのソフトパワーが企業の競争力の1つと認知されてきたことから、無形資産であるブランド価値を何らかの形で測定するために、ブランド・エクイティの概念が活用されるようになった。ブランド・エクイティの評価は、M&A時の買収価格の評価や、ライセンス料の見積もり、ブランド管理における資源配分の見直しや投資効率の評価など、経営上のさまざまな目的で有用である。
ブランド・エクイティを金額換算する評価方法は多数あり、それぞれの是非については意見が分かれる。ブランドの構築にかかった費用の総額を測定するコスト・アプローチ、ブランドが将来生み出すキャッシュを予測して現在価値に割り戻すキャッシュフロー・アプローチ、実際に市場で取引されている類似ブランドの価格をもとに評価額を決定するマーケット・アプローチの3つが代表的である。どのアプローチにも一長一短あり、計算の際には、どの数字を引用するかの判断、前提条件の設定、引用する数字の調整などが必要になる。
なお、ブランド・エクイティは、上記とは別の視点から、「ブランド認知」「知覚品質」「ブランド連想」「ブランド・ロイヤルティ」の4つの要素に分解してみると理解しやすいとされている。
次回は「ブランド認知」を取り上げます。
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