資本コスト(Costofcapital)
投資家が企業に期待する利回り。企業から見た場合、調達した資本のコストと言える。
一般に投資家は企業に対して、(1)社債の購入、(2)株式への投資という2つの方法により資金を提供する。社債の購入という方法で企業に資金を貸し付ける場合、投資家は企業が行っているビジネスのリスクを見ることにより、そのリスクに応じた利息rD(負債コスト)を要求する。
一方、株式に投資する場合は、ビジネス上のリスク=リターンなどを勘案して利回り(配当と値上がり益の合計)を期待する。この利回りのことを株主期待利回り(株主要求利回り)rE、あるいは株主資本コスト呼ぶ。
一般に、株式のほうが社債よりもリスクが高い。社債は毎年決められた額の利息が支払われるが、株式の場合は必ずしもそうならない。株式では儲かることも損することもあり、利回りは不安定だ。また、その企業が倒産した場合、社債の一部は返還される可能性があるが、株式はただの紙切れになってしまう。このため、当然ながら株主期待利回り(株主資本コスト)のほうが利息(負債コスト)よりも大きくなる(rD<rE)。
企業は毎年債権者に対してrDの利回りを返さなければ倒産につながる。一方、株主の期待に反してrEの利回りを達成できなければ、株主総会などで厳しく追及され、最悪の場合経営陣は解任されてしまう。つまり、企業は資本コストを上回るリターンを上げ、債権者と株主の両者を満足させなければならないのだ。
次回は「WACC(加重平均資本コスト)」を取り上げます。
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