CAPM(資本資産価格モデル:CapitalAssetPricingModel)
CAPMは株式などの個別銘柄の期待利回りを計算するときに用いられる前提モデルである。スタンフォード大学のシャープ教授やハーバード大学のリントナー教授などによって1960年代に考案された。具体的には、株式Zの期待リターンは、CAPMのモデルに従って、以下の公式で求められる。
E(rz)=rf+βz〔E(rM)−rf)〕
E(rz):株式Zの期待リターン
rf:リスクフリーレート
βz:株式Zのβ
E(rM)−rf:マーケット・リスクプレミアム
この式からも分かるように、株式Zに期待されるリターンは2つの要素からなる。1つはリスクフリーリートであり、投資の時間的価値を反映したものと考えてよい。リスクフリーレートとしては、実務的には10年物の国債を使うことが多い。
リターンのもう1つの要素は、リスクに対する報酬であるリスクプレミアム(βZ〔E(rM)−rf)〕)である。βが1以上の株式を持つということは、マーケット・ポートフォリオを持つ場合に比べて、リターンのばらつきが大きくなると言うことであり、それはすなわちハイリスク=ハイリターン型であるということと同値である。
なお、ここで注意すべきは、上記株式Zの期待利回りは、このくらいのβの株式を取得すれば(リスクをとれば)、この程度の利回りが得られるのではないかと「期待」されるにすぎないということだ。必ずしも計算された利回りが保証されているわけではない。
なお、縦軸に期待リターン、横軸にβをとったグラフ上において、上記の式が表す直線を証券市場線(SecurityMarketLine)と呼ぶ。
次回は「マーケット・リスクプレミアム」を取り上げます。
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