本社共通費(CorporateCosts)
全社の費用の中で、ある特定のグループが使用したことが明確に特定できない費用。たとえば本社社屋の修理費や社長の人件費などが該当する。
こうした本社共通費については、これを各業績評価単位に配賦しない方法と配賦する方法の2つが考えられ、企業運営上、しばしば問題となる。配賦しない方法を採用するのは、直接的な関連が特定できない費用を何らかの基準で配賦すると、かえって業績評価を混乱させるおそれがあるからである。ただし、この方法を用いると、本社共通費が大きい企業ほど、各事業部の利益追求マインドが弱くなりやすい。配賦する方法を用いるのは、そうすることによって各事業部が最低限クリアすべきハードルを明確に設定でき、各事業部の利益追求マインドが高まるからである。
具体的な配賦方法としては、各部門が受けたサービスの程度によって配賦する方法と、各事業部の規模に応じて配賦する方法がある。前者の例としては、購買費用を注文件数によって配賦する方法が考えられ、後者の例としては、売上高、人員数、人件費、総経費などを基準として配賦する方法が考えられる。ただし、費用を細かく分けてそれぞれ別の基準で配賦するのは手間がかかるため、状況に応じて判断する必要がある。一般的には、まず各事業部との関連を極力見つけて配賦し、共通費の総額を減らしたうえで、残りを各事業部に配賦していくことが望ましい。
次回は「レピュテーション」を取り上げます。
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