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MBA経営辞書「ポジショニング学派」

投稿日:2009/01/05更新日:2019/04/09

ポジショニング学派(positioningschool)

経営学者のヘンリー・ミンツバーグは著書『戦略サファリ』の中で、戦略の形成過程に着眼し戦略論を10の学派に類別した。その中の1つであるポジショニング学派は、1970年代後半から戦略形成の主流となった戦略論であり、業界分析を通して自社が競合に対して優位となるポジションを選ぶことを主眼とする。

ポジショニング学派の源流は古く、軍事学にその起源を求めることができる。それが勢いを増したのは60年代後半から70年代にかけてボストンコンサルティンググループを初めとする戦略コンサルティング会社が論文を発表し、また実践に応用してその有効性を主張し始めてからである。市場戦略や市場シェアが利益にどのような影響を及ぼすのかを分析したPIMS(ProfitImpactofMarketStrategies)プロジェクトもこの延長線上にある。

70年代後半に登場したマイケル・ポーターは、産業経済学の知見に基づきながらポジショニング学派の考え方をさらに推し進め、「5つの力」分析やバリューチェーンなど、現代でも用いられているさまざまな経営フレームワークを提唱した。ポーターの主張はその明晰さ、分かりやすさから広く受け入れられ(特に、企業の分析スタッフやコンサルティング会社、ジャーナリストなどに強く支持された)、80年代以降のポジショニング学派の隆盛に大いに貢献した。

ポジショニング学派はいまだに戦略論の中心に位置するが、いくつかの批判もある。主な批判としては以下がある。

・外部環境分析を重視しすぎており、戦略が同質化してしまう(誰が考えても似たような戦略になってしまう)
・戦略が模倣されやすい
・企業固有の強みや特徴への洞察が弱い
・そもそも外部環境を分析スタッフがすべて補足するのは難しい

次回は「ラーニング学派」を取り上げます。

▼「MBA経営辞書」とは
グロービスの講師ならびにMBA卒業生など、幅広い分野から知を結集して執筆された、約700語の経営用語を擁する辞書サイト。意味の解説にとどまらず概念図や具体例も提示し、マーケティング、ファイナンスなどの分野別に索引できる。今後、検索機能ほかサイト機能の追加を行う一方、掲載用語を1000語程度まで拡充した上でサイト上でのご意見の収集ならびに監修の実施を通じた更なる精緻化を図り、グロービス編著のベストセラー書籍『MBAシリーズ』と併読いただける書籍として出版を予定している。

  • 嶋田 毅

    グロービス経営大学院 教員/グロービス 出版局長

    東京大学理学部卒、同大学院理学系研究科修士課程修了。戦略系コンサルティングファーム、外資系メーカーを経てグロービスに入社。累計150万部を超えるベストセラー「グロービスMBAシリーズ」の著者、プロデューサーも務める。著書に『グロービスMBAビジネス・ライティング』『グロービスMBAキーワード 図解 基本ビジネス思考法45』『グロービスMBAキーワード 図解 基本フレームワーク50』『ビジネス仮説力の磨き方』(以上ダイヤモンド社)、『MBA 100の基本』(東洋経済新報社)、『[実況]ロジカルシンキング教室』『[実況』アカウンティング教室』『競争優位としての経営理念』(以上PHP研究所)、『ロジカルシンキングの落とし穴』『バイアス』『KSFとは』(以上グロービス電子出版)、共著書に『グロービスMBAマネジメント・ブック』『グロービスMBAマネジメント・ブックⅡ』『MBA定量分析と意思決定』『グロービスMBAビジネスプラン』『ストーリーで学ぶマーケティング戦略の基本』(以上ダイヤモンド社)など。その他にも多数の単著、共著書、共訳書がある。
    グロービス経営大学院や企業研修において経営戦略、マーケティング、事業革新、管理会計、自社課題(アクションラーニング)などの講師を務める。グロービスのナレッジライブラリ「GLOBIS知見録」に定期的にコラムを連載するとともに、さまざまなテーマで講演なども行っている。

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