コード化戦略と個人化戦略(codificationstrategy/personalizationstrategy)
ベイン・アンド・カンパニーのT・ティアニーらは、ナレッジ・マネジメントの方向性として「コード化戦略」と「個人化戦略」を提唱した。
コード化戦略とは、日常活動から発生する情報を文字などで表し、それを蓄積することで「知の貯蔵庫」を構築し、知識の再生産を行うことである。営業活動から得た市場情報や、顧客からの質問や苦情などを蓄積し、顧客対応や商品開発など将来の活動に役立てることで、情報の「再利用の経済」(情報の使い回しによるコストダウン)を追求する。
知識の表出化や再利用を促すために、ITを活用してコード化のプロセスを効率化したり、簡単に情報を検索したりできるようにすることが大切だ。
個人化戦略は、個人が保有する知識と対話を重視し、人のネットワークやコミュニケーションによって、コード化できない知の継承や創造を行う戦略である。
コード化されない知は、人と人との対話やブレーンストーミングによって引き継がれたり、創造されたりする。顔をつき合せた会話や電話だけではなく、電子メール、テレビ会議なども活用する。個人化戦略では「専門性の経済」(専門知識の掘り起こしと、その有効活用)を追求していくので、専門家が保有する知識が重視される。
次回は「ポジショニング学派」を取り上げます。
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グロービスの講師ならびにMBA卒業生など、幅広い分野から知を結集して執筆された、約700語の経営用語を擁する辞書サイト。意味の解説にとどまらず概念図や具体例も提示し、マーケティング、ファイナンスなどの分野別に索引できる。今後、検索機能ほかサイト機能の追加を行う一方、掲載用語を1000語程度まで拡充した上でサイト上でのご意見の収集ならびに監修の実施を通じた更なる精緻化を図り、グロービス編著のベストセラー書籍『MBAシリーズ』と併読いただける書籍として出版を予定している。