顧客の心の中に占める特定ブランドの占有率。
定義からも推定されるように、マインドシェアは直接に測定できるものではない。一般には、純粋想起率で代用することが多いが、場合によっては純粋第一想起率を用いるケースもある。純粋第一想起率は、たとえば「ハンバーガーショップと言えば、まずどこを思い浮かべるか」のように、最初に頭の中に浮かぶブランドを答えてもらったときの割合である。
通常、マインドシェアは販売シェアとは一致しない。なぜなら、販売シェアは製品力や価格競争力、チャネル力なども加えたトータルの力が反映されるからである。マインドシェアが低いにもかかわらず販売シェアが高い状態は、価格競争力やチャネル力に優れていることを示す一方で、当該ブランドの将来性に黄信号が点っていることを示す兆候でもある。
マインドシェアは一般に専門品でより重要とされてきたが、近年ではネットで情報を収集したり購入したりする消費者が増えてきた影響もあって、ますますその重要性が指摘されるようになってきている。また、こうしたトレンドを反映して、検索エンジンで上位に表示されるようにする、いわゆるSEO(検索エンジン最適化:SearchEngineOptimization)が高い注目を集めている。
なお、マインドシェアが高くとも、顧客が好感度を抱いていない場合には、購入に結びつかない。たとえば、プロスポーツ球団のアンチファンにとっては、当該のチームはマインドシェアは高いものの、チケットを買ってまでゲームを見ようとはしないだろう。
次回は「広告戦略」を取り上げます。
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