定量データ(quantitativedata)
売上高や市場シェア、顧客満足度のように数値化されたデータ。比較や加工、目標値の設定がしやすく、また定性データよりも客観性が高いことが多いため、経営の意思決定や日々の業務管理に多用されている。現代の科学的な経営にはなくてはならない情報である。
多くの企業は、程度の差こそあれ、経営が適切に行われているか、あるいは戦略目標に着実に近づいているかを見極めるためのKPI(KeyPerformanceIndicator:主要業績指標)を定め、その目標値を設定し、月次あるいは四半期ベースで差異分析を行い、PDCAのサイクルをまわしている例が多い。デイビット・P・ノートンとロバート・S・キャプランが提唱したバランススコアカード(BSC)では、戦略マップを描いた上で、これらのKPI(4つのカテゴリーに分類)を有機的に関連付けながら設定・測定し、戦略の組織への落とし込みを図る。
定量データには、客観的に測定できるもの(例:キャッシュフローなど)と、数値化はされているものの比較的客観性が弱い、定性データに近いもの(例:顧客満足度、商品選好など)がある。後者の場合、測定にムラが生じやすく、往々にして正しい比較などができなくなってしまうため、注意を要する。
なお、狭義の意味では、定量データは「比例尺度あるいは間隔尺度で測定されたデータ」と定義されている。比例尺度とは、単位の間隔が等しく、かつ絶対的な原点(ゼロ)を持つ尺度で、長さや重さなどが該当する。間隔尺度とは、単に優劣の関係(順序)ではなく、優劣の差に量的な意味を持つもので、典型的には偏差値がこれに当たる。
次回は「データマイニング」を取り上げます。
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