1通のメールから1泊4日の豪州出張が決まった。
世界最大規模の経営者組織であるYPO(Young President Organization)のGLOBAL IMPACTの担当者からのメールだった。
「豪州のメルボルンでYPOの年次総会が開催される。そこでGLOBAL IMPACTに選ばれた人を対象としたセッションを行う予定だ。できたら来て欲しい」と。
GLOBAL IMPACTとは、世界の経営者の中で、社会的に良いインパクトを与え、世界をより良い場所にするべく努力した人を選ぶプロジェクトだ。彼らをロールモデルとして、動画などでその活動を伝播し、共感を呼び起こし、多くの経営者を触発するプロジェクトだ。現在までに14名が選ばれている。(動画は以下URLで)
https://www.youtube.com/playlist?list=PLAn8oW6I-X-vXT6vCr7l9WiHFFCB-YIFl
なんとその14名のうちの最初の数名に、僕が創ったKIBOWが選ばれた。KIBOWのために一昨年、動画が作成された。彼らが、検索して作った動画なので、米国的視点になっているし、間違った画像も一部使われている。
→ 動画はこちら
僕は、選出されたものの、このプロジェクトの担当者を誰も知らないし、賞を受けた他の人も知らないが、「せっかく招待されているのだから、行ってみようか」と思い始めた。そして、せっかくならば、と色々スケジュールを詰め込むことにした。
初日の夜は、東アジア(中韓台などと東南アジア)の経営者との懇親会に参加。2日目の朝は、朝食会でスピーチ。メルボルン・ビジネス・スクールを訪問して、2つのインタビュービデオへの出演と要人とのランチだ。
そして、豪州は僕が高校時代に1年間留学した場所でもある。もう70歳を過ぎているホストファミリーにも会って来ようと思った。
だが、出発はG1サミットを終えた翌日の月曜日で、日本でも木曜日に用事が入っている。フライトを調べた結果、メルボルンには1泊のみで、機内2泊の強行軍となった。5月にも同様に1泊4日の欧州出張が入っている。今後は、この「弾丸出張」が増えそうな予感がする。
そして、G1サミットを終えた翌日の3月23日(月)の夕方、成田空港のラウンジで、二日酔いの体と、G1サミットが成功したことへの達成感とで、頭をボーっとさせながら、余韻に浸っていた。アナウンスが流れ、搭乗時間になった。これから豪州に、1泊4日の出張だ。満足感を胸に、海外でガンガンに日本のプレゼンスを上げてくる意思を強くした。
シドニー経由でメルボルン到着。G1サミットで一緒だった麻生厳氏等とフライトが一緒だったので、G1 のことを振り返っていたら、あっと言う間にホテルに着いた。
昼過ぎに部屋にチェックインした。疲れていたから、「気乗りしないなぁ」と思っていたけど、あれこれ考えても仕方がないので、あまり深く考えずに、すぐにプールに向かうことにした。途中まで身体がとてもダルかったが、後半からはかなり動くようになり、しっかりとルーチンの1000mを泳ぎきった。シャワーを浴びて爽快な気分だった。
今回は1泊4日だから、体調管理が重要だ。しかも英語での登壇2回と動画インタビュー2回だ。気合いを入れて挑まないと、多くの人に迷惑をかけることになる。ホテルの部屋で、メールやツイッター、Facebook、NewsPicks、LINEなど、すべてのSNSを確認し、30分ほど小休止して、YPOの年次総会の会場へと向かった。
会場に入り、GLOBAL IMPACTの担当者や選出された経営者と握手して回った。ほどなくしてGLOBAL IMPACTのセッションが始まった。最初は、シドニーから来られた方の5分間プレゼンだ。僕は、2番目だった。以下の趣旨のことをお話しした。
4 years ago on March 11th, 9.1 magnitude earthquake hit Japan. One hour after, Tsunami came. The highest was 43m.
Then, Fukushima Nuclear Power plants. We call this 3 mega disasters. Tokyo was isolated as no trains were running. People had to walk home.
3 days later, still the earth was shaking. We lost power and planned blackout was implemented. There was a threat of radiation leakage from Fukushima.
On March 14th, friends of mine got together at GLOBIS Tokyo Campus and discussed what we could do. Human being may be a small animal against 3 mega natural disasters, but if we get together we may be able to do something. Let's maintain hope. Let's become the rainbow of Hope.
That was how KIBOW was named.
We have decided to do 3 things.
1) Create forum for people to get together, share concerns, and give assistance to solve problems. We have done the events more than 43 times in devastated areas bringing people from Tokyo and other regions to get connected.
2) We have sent out “Emails from Japan” for them to understand what was actually going on in Japan.
3) Raised donation and supported those who are willing to take action in devastated area.
What we realized was that there were strong determination and tremendous energy coming out of the people in Tohoku. More than 20,000 people died. They have lost their family, relatives, friends, houses and jobs.
However, they never lost hope. One gentleman whom I met at KIBOW said, "we should live and work in dignity for the sake of those who died in Tsunami."
After having visited the region numerous times, I decided to create a business school in Sendai. The first ever business school in Tohoku. We need to educate leaders. Daimler Bentz donated US$2 million to us so that it can be used for scholarship for those who suffered in 3 disasters.
Three things I have learnt.
1) Philosophy of why we live. How we use our lives, what is important in life.
2) Courage and Action is important.
3) KIBOW events are very effective to energize people, enhance hope, stimulate ideas and support those who need some capital to move forward.
Finally, I believe the education will become the mid to long term solution. I have just come back from Sendai two days ago. We can feel that the economy is moving and people are being encouraged. I would like to thank those who have selected me for GLOBAL IMPACT program.
心をこめて話をしたので、僕なりに良くできたと思う。会場には日本の経営者の仲間が多数来てくれていた。ありがたい。皆さんに感謝だ。
夜は、東アジアの経営者の会合に参加して、早めに就寝した。翌日の朝7時から朝食会スピーチだった。テーマは、「社会の創造と変革のために」だった。グロービスを立ち上げた目的とG1のことを中心にお話をした。つまり、「ヒト、カネ、チエの生態系を創り、社会の創造と変革を行う」というビジョンと、「G1・100の行動で始まる静かな革命」の話をした。
朝早いのに世界中から多くの経営者が集まってくれた。
経営者の会合では、起業のストーリーや成功の秘訣に関するスピーチが多い。10年以上こういった会に参加していると、正直言って同じ話ばっかりでもう飽きてしまう。だから僕は、一切そういう話をしないで、「一民間人がどうやって、社会そして国家の創造と変革に貢献できるのか」を話すことにした。早朝なのに多くのメンバーが来てくれ、スピーチの内容も好評だった。
ホテルに戻りチェックアウト。そして、メルボルン・ビジネス・スクールへと向かった。豪州ナンバー1と評価されているところだ。いろいろと意見交換し、キャンパスの中を見せてもらった。
メルボルン・ビジネス・スクール訪問を終えて、動画インタビューを行った。ヤバい、あまり頭が回っていない。ちょっと強行過ぎるスケジュールだったかと反省する。要人との会食。この方は、豪州版ダボス会議をつくられた方だ。僕も過去に何回か参加しているカンファレンスだ。
2つ目の動画インタビューも無事に終了!メルボルン空港への移動中にメールをチェックする。空港でシャワーを浴びて、シドニー行きフライトに搭乗。今のところすべて順調だ。
シドニー空港に降り立ち、オペラハウスと客船Queen Mary 2をバックにホストペアレンツとパチリ。Alfはもう82歳。Lorettaは75歳だ。留学からもう36年経つ。僕の家族はロータリーの会員ではないのに、ロータリークラブが与えてくれた縁と機会に感謝したい。
久しぶりの夕食会。高校時代の留学が与えてくれた学びは大きい。僕は、高校留学で人生が変わった。大学院にも留学でき、その結果起業し、ダボス会議でも登壇するまでになれた。感謝したい。
久しぶりの楽しい食事会も、お開きの時間が近づいてきた。僕のフライトの時間があるからだ。シドニー・ハーバーを望むホテルの入り口で、タクシーにおふたりを乗せてお見送りし、僕は、シドニー空港へと向かった。
「今度いつ会えるだろうか?もしかしたら・・・」と思うと、寂しさが込み上げて来た。「もっとしっかりとお礼を言えば良かったのでは」と思い、悔いが残った。面と向かっては、なかなか言えないものなのだ。だからこそ、この場で謝意を表明することにした。
「おふたりのおかげで、素晴らしい留学ができ、とても感謝をしています。ありがとう」と。
2015年3月27日
一番町の自宅にて
堀義人