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信頼される組織の作り方

投稿日:2014/11/13更新日:2019/09/20

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僕たちCEO/社長という人種は、残念ながら、世界で最も信頼されている人間の集まりというわけではない。エデルマン社が実施した信頼度調査「2014 エデルマン・トラストバロメーター」において、CEOはかろうじて43%の信頼度を得るにとどまった。これは、第1位の学者/専門家が獲得した67%の信頼度には遠く及ばない。

ちなみに、CEOよりも信頼度の低いグループは、最下位の政府高官/規制当局者だけである。

ここ日本において、企業は深刻な信頼失墜の危機に陥っている。2011年の福島原発事故発生後の東京電力社長の不手際により、企業に対する世間の信頼は著しく損なわれた。そして最近、日本で2番目に売れている新聞である朝日新聞が、従軍慰安婦問題に関して数十年にわたり虚偽の報道を行ってきた事実が発覚したことから、ビジネスリーダーに対する信頼はさらに低下の一途をたどっている。

日本で企業が不祥事を起こすと、最終的にはCEOが記者会見を開き、カメラのフラッシュを浴びながら90度のお辞儀をするのが常である。企業のトップが儀礼的な謝罪を行うという絵面の強烈さは、「ビジネスリーダーとは信頼できない人種である」という世間一般の認識をいっそう助長するだけだ。

では、もっと信頼されるためにCEOは何をすべきなのだろうか。

僕は、次の3つのことを目指す必要があると考えている。

1. 裏表のないリーダーシップ

公私の顔のギャップをなくす

世間はもはや、堅苦しい言葉づかいと形式張った態度では満足しない。PR部門が用意した雛形原稿をそのまま読み上げることがコミュニケーションだと思っているようなCEOは、誰からも信頼されないのだ。外部の信頼を得るために、CEOは感情、熱意、誠実さを表に出す必要がある。本心と言葉を一致させなければならない。

これはまさに、僕が自分の会社であるグロービスで心がけていることだ。

僕はまず、フランクに、形式張らず、頻繁に世間とコミュニケーションを取るようにしている。このようなLinkedInへの投稿や、ツイッター、フェイスブック、メールマガジン、テレビ番組、本など、媒体は問わない。「ありのまま」という、コーポレート・コミュニケーションに対する僕のモットーに従うように努めている。

僕はまた、ダボスでの世界経済フォーラムから、ヨーロッパやアジアでのVC(ベンチャーキャピタル)関連の会合に至るまでのさまざまな場で出会う刺激的なアイデアを、社内の全員と共有するブログを書いている。このブログでは、楽しく読める口語調の文体を心がけている。従業員が楽しみながら、僕の考え方がどのように発展しているのかを確かめ、僕が会社を今後どこの方向へ導く可能性があるのかを感じ取れるようにするためである。

2. 完全な透明性

全員を広報担当者にする

CEOが自分の率いる会社について言うことよりも、従業員が自分の勤める会社について言うことのほうが、はるかに世間から信じてもらいやすいという傾向がある。そこでCEOが取るべき必然的な解決策は、従業員全員に広報担当者として行動するよう促すことだ。フェイスブックやツイッターのようなソーシャルメディア上でのシェアやリツイートを通じて、あらゆる従業員の投稿は口コミの力であっという間に勢いよく広まる可能性がある。そのようなプラットフォームを怖がらずに利用してみてはいかがだろうか。

僕はグロービスの従業員300人全員に対し、会社全体の広報担当者として行動することを積極的に奨励している。グロービスでは、ソーシャルな影響力を評価するクラウト(Klout)というアプリを使って、社内で最もコミュニケーション上手な人物をチェックし、「クラウトスコア」の上位者をデジタル専用のメディアと伝統的なオフラインのメディアの両方で表彰している。

3. 前向きな文化

不満をなくし、満足度を高める

ウィキリークスの時代において、情報は自由になることを望み、その望みは叶うことが多い。メッセージを完全にコントロールすることは絶対に不可能である。となると、最善の選択肢は、従業員の個人的な意見(2つ目の項目で既述)が会社のビジョン、ミッション、価値観と一致しやすい環境を生み出すこと。それを実現する最善の方法は、不満のあらゆる原因を積極的に取り除くことによって、社内の誰もが満足している状態を維持することだ。CEOは、(a)ブログへの投稿や動画を使って社内の全員に自分の見解を日常的に伝えると同時に、(b)従業員の理解や懸念にも耳を傾け、対応すべきである。そうすれば、全員の意見は常に一致する。そして、社内は幸福で満ちあふれるというわけだ。

くすぶっている不満がないかチェックするために、グロービスでは年次の無記名調査を実施し、従業員全員が会社の文化や経営陣、職場環境などを評価できるようにしている。最も貴重な情報が得られるのは、従業員が自分の不安を率直に書き込んでくれる自由回答欄である。​

数年前、「会社があまりに急ペースで拡大しているせいで、誰もがキャパオーバーだと感じている」との不満の声が上がった。これを受けて、翌年は調整モードに徹することにした。すると今度は、「停滞感を覚える」という趣旨のコメントが寄せられた。そこで拡大を再開したのだが、ペースは以前よりも控えめにしたのだった。

僕が何を考えているのかは、僕のブログを通じて全員が知っている。社員がどんな懸念や希望などを抱いているのかは、調査によって把握している。だから僕は、怒りが噴出したり、根本的な認識違いが生じたりすることをまったく心配していない。

僕は上記の3つの対策を通じて信頼の構築に鋭意努めてきたが、正直なところ、その努力がどの程度実ったのかは分からない。信頼を築くことは非常に難しい。人々の心を動かし、より広い社会と共鳴するためには、かなりの率直さと、かなりの時間、かなりの人数とのやり取りが必要とされる。

僕の信頼構築のアプローチについて、あなたはどう思うだろうか。このやり方で間違いはないだろうか。また、あなたの国のことについても教えてほしい。あなたの国では、ビジネスリーダーは世間から信頼されているだろうか。信頼されていないとすれば、それはなぜだろうか。そして、あなたの国のCEOたちは、透明性と信頼性を高める努力をしているだろうか。

ぜひ意見を聞かせてほしい。
あなたのフィードバックを楽しみにしている。
この記事は、2014年10月28日にLinkedInに寄稿した英文を和訳したものです。

(Photo: Shutterstock / EDHAR

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