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園遊会は究極の動機付け体験

投稿日:2014/07/22更新日:2019/09/20

今年3月のある日、出勤すると机の上に大きな封筒が置いてあった。宛名は手書きで記されている。それは、毎年4月に東京で天皇皇后両陛下が主催される園遊会への招待状だった。園遊会の招待客の大部分は、閣僚、国会議員、都道府県知事、市町村長、官僚が占めるが、スポーツ選手、芸能人、作家なども少数ながら招かれる。出席できるのは2,000人だけ。僕と妻は、お招きいただいたことを光栄に思った。

招待状には、当日の服装に関する詳細な指示も記載されていた。男性は、モーニングコート、紋付羽織袴、制服または背広。女性は、デイドレス、白襟紋付または訪問着など、とある。プロトコルについても注意書きがあった。お声をかけられない限り、こちらから天皇陛下に話しかけてはいけない。何かを渡すのも、写真撮影も禁止だという。

当日、会場にはタクシーで向かった。皇居から西側に少し離れたところにある、赤坂御用地だ。タクシーを降りて受付を済ませ、庭園へ向かう。優しい金色の日射しと桜の花が池に反射する、美しい春の午後だった。

会場には政界の大物が大勢集まっていた。中には、僕たちが主催するカンファレンス(G1サミットなど)を通じて知り合った政治家の姿も見られた。しかし、最も注目を集めていたのは、フィギュアスケート金メダリストの羽生結弦選手や、7回のオリンピック出場記録を持つ41歳のスキージャンパー、葛西紀明選手などの著名人である。一緒に写真を撮ろうとする人々が列をなしていた。

しばらくして、池の周りを囲む小道の方へ全員が向かっているのに気付いた。皇族の方々はその道に沿って、招待客にご挨拶をして回られるのである。僕と妻も最前列に陣取るべく、そちらへ向かった。

僕たちが並んだのは、新都知事の舛添要一氏と京都市長の隣だった。日本経済再生戦略の立役者である日銀総裁の黒田東彦氏も、同じ列の少し離れた場所におられた。

国内有数の権力者たちが、天皇陛下が目の前をお通りになるのを謙虚に辛抱強く待っている。不思議な――それと同時に感動的な――光景だ。45分ほどして、天皇陛下が僕たちの前をお通りになった。陛下は立ち止まり、東京都知事と京都市長に向かって励ましのお言葉をかけられた。

僕にとって、それは崇高な瞬間だった。LinkedInをご覧の皆さんならご承知のように、僕は若き起業家の育成や、日本の経済・政治・財政問題に対する解決策を生み出すことを目的としたカンファレンスの主催などを通じて、自分なりに日本に貢献しようとしている。

園遊会で天皇陛下のお姿を拝見したことで、僕はますます頑張ろうと奮い立った。日本では、天皇陛下にお目にかかれる機会はめったにない。だから、その微笑みと簡単なお言葉だけでさえも、とてつもない力を持っているのだ。

天皇陛下のお姿を拝見したことで、なぜこのように理想を追い求めようとする気持ちがこみ上げてきたのだろうか。僕は厳密な分析を試みた。思うに、これには複数の要因が絡んでいるようだ。その要因とは、選り抜きの権力者たちに囲まれていたこと、通常は立ち入りできない美しい場所に足を踏み入れたこと、誰もが正装した非常に格式の高い雰囲気に包まれていたこと、そして、この行事が儀礼を重んじたものであったことのように思う。

園遊会の招待客のほとんどは、公共部門で働いている。基本的には金銭欲よりも、社会に奉仕したいという気持ちに動かされている人々だ。しかし、その労力に対して得られる見返りと言えば、特に著名な人々――日銀総裁のような――の場合は、メディアで叩かれること。その他の多くの人々の場合は、まるで顧みられないことなのである。

では、公務員の動機を維持するためには、どうするのが一番なのだろうか。

あの日の周囲の人々の様子と、自分が感じたことを踏まえて(1カ月以上経つのに、いまだ感動の余韻は冷めやらない!)、僕はこう確信している。このような園遊会こそ、公共部門で働く人々に報い、彼らを動機付けるために存在する、最も効果的なツール――究極の動機付け体験の1つであるに違いない、と。
(Photo: shutterstock / IZO)

この記事は、2014年6月6日にLinkedInに寄稿した英文を和訳したものです。

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