茨城ロボッツの劇的敗戦で終えるシーズン 

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茨城ロボッツ

「ボワーーン」という無機質な音がいわき市総合体育館に鳴り響き、選手はうなだれ、ブースターからは悲鳴がもれ、茨城ロボッツのシーズンが一瞬にして終わった。誰もが優勝を信じていた。あと5点地区優勝を果たし、B1昇格をかけたプレーオフで戦えるはずだった。

5月6日にいわきで行われた、アウェイ最終戦の試合後、コートサイドでハイタッチする選手の涙にもらい泣きし、ブースターを見送る際も彼らの涙にもらい泣きした。常磐線で水戸に戻る時も、ツイッターのコメントや動画に涙腺が崩壊してしまった。この年になって悔し涙をこれだけ流すとは思わなかった。

茨城ロボッツは、今シーズン後半に17連勝しながら、最終戦に敗れB2中地区2位となり、プレーオフ進出を逃した。

試合後、水戸に戻りM−SPOで選手のお迎え式を開いた。僕は締めの挨拶で、哲学者の森信三さんが説かれる「最善観」という考え方を語った。「人生で起こったことは、全て良いことである」と捉える考え方だ。僕は、チーム、スタッフ、ブースターがこのドラマチックな敗戦の悔しさを共通体験したことで一体感が増し、来年の力が倍増すると考えている。この悔しさを忘れないためにも、サッカーW杯予選の「ドーハの悲劇」にならって「いわきの悲劇」と呼びたいと思う。

「もっと会社が大きくなり、チームが強くなるまで待て」というメッセージだったとも受け取れる。悔しいが、「いわきの悲劇」を前向きに捉えて、来年はさらに強くしたいと心に誓った。

今季、ロボッツは大きく成長した。主に5つの点が印象的だった。

1) 17連勝できるほどのチーム力:中地区優勝の名古屋FEに対しては5勝1敗という強さをみせた。ただ、エンジンがかかるのが遅すぎて、優勝を逃した。だが、昨季に比べて圧倒的に強くなった。あと一歩だ。

2)スタッフとロボチアことRDTの頑張り:今季からB1昇格に新たな観客基準が加わった。観客動員を平均1500人以上にしないとB1ライセンスを取得できないのだ。ロボッツは、昨季より50%も観客動員を伸ばし、平均1500人を達成した。またロボッツは、Bリーグ全体のツイッター・リツイートランキングで4週連続首位になるなど、人気クラブを追い抜くほどファンの支援を得た。

3)数と質が圧倒的に向上したブースター:水戸・つくば・日立の会場で試合ごとに観客が増え、終盤は2000人を越えることが普通になった。まさに茨城が1つになったのだ。最終戦のブースターの数は圧巻だった。1700人来場のいわき市総合体育館の半分をロボッツのブースターが真っ青に染めたのだ。ブースター間の交流も進み、仲間となり、コミュニティ(ファミリー)へ進化していることを実感した。

4)倍増したスポンサー:今季はスポンサー金額が昨季より倍増した。6月末決算なので予断を許さないが、3億円の売り上げを達成して、ロボッツ史上初の黒字化が視野に入ってきた。

5)街中の再開発事業M-SPOの開設:ロボッツはプロバスケットボールチームの枠を超えて、水戸・茨城の活性化を目指している。水戸市の協力を得て、市街地中心の空き地を活用して、アリーナ・スタジオ・カフェ・ショップの複合施設を作ったことは、大きな意義があると思っている。

さて、来季への準備はすでに始まっている。来季の目標は、B2東地区をぶっちぎりで優勝し、プレーオフの準決勝と決勝を来年4月にオープンする東町体育館を満杯にして戦い、B1昇格B2制覇を実現することだ。

茨城ロボッツはBリーグ3年目に向けて動き出している。来季も水戸青柳、つくばカピオ、日立池の川さくらで会いましょう。Go Go Robots!

2018年5月6日
一番町の自宅にて執筆
堀義人

京都大学工学部卒、ハーバード大学経営大学院修士課程修了(MBA)。住友商事株式会社を経て、1992年株式会社グロービス設立。1996年グロービス・キャピタル、1999年 エイパックス・グロービス・パートナーズ(現グロービス・キャピタル・パートナーズ)設立。2006年4月、グロービス経営大学院を開学。学長に就任する。若手起業家が集うYEO(Young Entrepreneur's Organization 現EO)日本初代会長、YEOアジア初代代表、世界経済フォーラム(WEF)が選んだNew Asian Leaders日本代表、米国ハーバード大学経営大学院アルムナイ・ボード(卒業生理事)等を歴任。現在、経済同友会幹事等を務める。2008年に日本版ダボス会議である「G1サミット」を創設。2011年3月大震災後に、復興支援プロジェクトKIBOWを立ち上げ、翌年一般財団法人KIBOWを組成し、理事長を務める。2013年6月より公益財団法人日本棋院理事。いばらき大使、水戸大使。著書に、『創造と変革の志士たちへ』(PHP研究所)、『吾人(ごじん)の任務』 (東洋経済新報社)、『人生の座標軸』(講談社)等がある。

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