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ボストン訪問記-Ⅰ想い出の地へ

投稿日:2006/06/08更新日:2019/08/21

今、ボストンにいて、ハーバード経営大学院(Harvard Business school=HBS) の卒業15周年記念同窓会に来ている。HBSは5年おきに、同窓会を開催している。この同窓会で、卒業生同士が再会し、最新の経営動向を学ばせ、そして寄付金を集めるのである。同窓会には、家族を連れてくることを奨励しており、 卒業生が家族ぐるみで触れ合う機会も提供しているのである。

僕は、この同窓会には、5周年、10周年と参加しているので、今回で3回目となる。「皆勤賞」だ。しかも、毎回ファミリーとともに来ている。5周年 は、妻と2人だった。10周年は、妻と長男・次男の4人で来た。
※参照コラム「10th Year Reunion at HBS -HBS同窓会報告-」  

そして、今回は、妻と子供5人と妻の母の計8人での参加だ。毎回人数が増えている。

長男・次男は小学生で登校日であったが、思い切って2週間弱ほど学校を休ませてしまった。彼らにとっては、米国に触れ、英語に浸る、格好の「社会勉強」の機会だと思ったからだ。

そうは言っても、8人で旅行するのは、簡単ではない。費用も馬鹿にならないし、荷物は多いし、移動や宿泊が大変である。しかも、そのうちの一人はまだ乳飲み子だ。飛行機の移動は、基本的にエコノミークラスにした。ビジネスで飛ぶと高いし、他の乗客に迷惑をかけるからだ。ホテルは、コネクティングタイプの二部屋をとり、簡易ベッドをつけてもらうことで対応した。

荷物のパッキングも馬鹿にならない。同窓会以外にも、僕は、HBSの卒業生理事会に参加し、投資家にも会う予定があったので、服も多い。タキシード、ビジネススーツ、ビジネスカジュアル、そして子供と一緒に泳いだり、運動したりする服装が必要であった。ま、服は足りなければ買えばいいので、僕は、パスポートの枚数とチケットの数だけは、しっかりと数えておいた。

そして、5月30日の朝に自宅を出て、愛車のランド・クルーザーで成田空港に向かった。成田空港郊外のパーキングに立ち寄り、業者に空港まで送ってもらい、エアラインのカウンターに向かった。

そこで一つ目の事件が起こった。長男のパスポートが無いのである。パスポートの枚数が足りていたのに、何と次男の古いパスポートを間違って持ってきていたのである。「何ということだ」。

ジタバタしてもしょうがない。次のフライトに搭乗できることを確認して、 再度自宅に戻り、パスポートをピックアップして、成田空港までとんぼ返りし た。「ま、こういうこともあるさ」という平静な気持ちを維持するように努めた。

飛行機に何とか搭乗し、シカゴに向かった。シカゴ空港で第二の事件が起きた。 僕らが、移民局を通過しようとパスポートを提示した瞬間に、入管システムがダウンしたのである。30分ほど、窓口で待ちぼうけとなった。「ま、こうい うこともあるさ」という冷静な気持ちで待ち続けた。深呼吸をしたり、子供達とじゃんけんで遊んだりして気を紛らわしていた。「あと5分遅れたら、ボストン行きのフライトを変更しなければならない」、という時に何とか復旧して、ボストン行きの飛行機に乗り換えることができた。

ところがゲートに着いてみると今度は、一時間の出発遅延である。結局、ボストンのホテルに着いたのは、現地時間の夜8時を過ぎていた。家を出てから24時間以上も経っていたことになる。

さすがに、子供達は、疲れきっていた。幸いすぐに寝ることができたので、時差ボケは解消しやすくなった。ま、こういうポジティブ・シンキングが、集団を引っ張っていく上では必要なのであろう。

翌朝、スーツに着替えて、早速仕事である。投資家に会いに行く予定があるのだ。その投資家とは、もうかれこれ7年間会い続けているが、タイミングが合わずに、未だ投資を受けるに至っていない。ただ、ファンド・レイジング(資金調達)は、一種の「営業」なので、会い続けることが重要であった。ボストン以外の投資家には、電話で挨拶をすることにした。

昼からは、HBS卒業生の理事会に参加した。この理事会は、年に3回開催されるのである。僕は今のところ毎回参加している。グロービス経営大学院の学長として、欧米のトップスクールの大学院経営のベスト・プラクティスを学ぶ良い機会だと思っているからだ。

夜は、食事会であった。過去と現在の理事、そして各都市にあるHBSクラブ(同窓会)の会長が集まる機会なので、僕は妻を同伴して参加することにした。日本からは、過去に理事を勤められたキッコーマンの茂木賢三郎夫妻も参加されていた。

その間、妻の母が、子供達をベビー・シッティングしてくれていた。夕食後にホテルに戻ったが、子供達は寝静まっていたので、義理の母のお言葉に甘えて、夜のハーバードの街中を二人で散歩を二人ですることにした。暖かい風が肌にあたり、気持ちがいい。

僕ら二人が出会ったのが、1989年夏のハーバード大学である。もう17年も前のことである。僕が、大学院に入学する前にハーバードのサマースクールに通っていたのだが、彼女も大学4年生の時に語学勉強のために、ここに来てい たのである。17年前のある日、大学の寮にあるカフェテリアに昼食をとりに行った時のことである。トレイを持って列に並んでいたときに、たまたま僕の前に東洋系の女性がいたので、そこで軽い気持ちで、"Where are you from? (どこから来たの)”と声をかけたのがきっかけである。ま、いわゆる「ナンパ」である。

ハーバードの街中を二人で歩くのは久しぶりである。17年前のように手をつないでみることにした。僕らはその後、それぞれ別の大学院で学んだ。彼女は、大学を卒業してから、僕より一年遅れてニューヨーク在の国際関係学の大学院に進学した。僕は、ボストンである。結局、1年目は日本 - ボストン、2年目がボストン - ニューヨーク、そして3年目がニューヨーク -東京と遠距離恋愛を3年間続けて4年後に結婚したのである。

その後、5人の子宝に恵まれて、現在に至っているのである。子供ができてからは、夫婦でデートをする機会がほとんど無い。妻の母に甘えて、たまにはゆっくりとさせてもらおうと思い、出会った頃の話をしながら、ゆっくりと夜のハーバードの街中を散歩した。

閉店間際の「ハーバードショップ」に入ってみることにした。結局買うのは、お互いに子供用品ばかりである。僕は、子供と遊べるように、ハーバードのロゴ入りのフリスビーとプラスチック製のバットとボールを買った。この旅行中に遊ぼうと思ったからだ。

ベンチに腰をおろして、会話を楽しむことにした。だが、会話がどうしても、子供のことに戻ってしまう。こればっかりは、仕方が無いのであろう。子供は二人の作品みたいなものであるし、キチンと育てるのも簡単ではないからだ。

子供の話をしているうちに、子供達のことが気になったので、予定よりも早く部屋に戻ることにした。義理の母に感謝をしてから、寝静まっている子供達のほっぺたにキスをする。ほのぼのとする瞬間である。

2006年6月4日
ハーバードにて
堀義人

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