山小屋計画 

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現在、長野県の山の麓に家を建てており、もうそろそろ完成する。とても楽しみである。 今、なぜ「山小屋計画」なのかをちょっとコラムに書いてみることとした。

僕も今年で、40才になる。今まで、グロービスの経営に専念してきてファミリーを振り替える余裕が無かった。ふと気がついてみたら、何と子供が3人も生まれていた のだ。しかも、結果的に全員男の子だった。

その息子たちの生活環境を見回してみると、ちょっと気が滅入ってしまうことがある。

子供たちは、東京のど真ん中で、緑が無いコンクリートジャングルの中で、生きている。空気は、排気ガスや光化学スモッグで汚れている。道路は、車がビュンビュン走っていて、自転車にも怖くて乗れない。しかも、小学校に入ると、学校と塾と家の往復で終わってしまうとしたら大変なことだ。

田舎で自然の中でのびのびと育ってきた僕にとっては、このような環境で子供たちを 育てるのがとても可哀想でしょうがない。

最近になって、精神的にも経済的にも多少ゆとりができたので、何らかのアクションをとるべく考えだした。 
やっとゆとりがでてきたとは言っても、いつ何がおこるかわからない。今まで、個人の貯金は全てグロービスへの再投資に注ぎ込んできた。金銭的には、厳しい時が続いた(今だから言えるが、出産費用が出せないかもしれない、と真剣に焦った時期もあったのだ)。

従い、投資対象も優先順位付けする必要があった。
・東京に持ち家(マンション)を持つか? あるいは、
・東京はとりあえず賃貸にして、長野の山の中に家を建てるか?

東京に持ち家を持つ(マンションを買う)という考えもあったが、バブルが崩壊したとは言っても、まだまだ値段が高いような気がしていた。東京で家を買っても、自然に親しむ生活をさせてあげられない。結果的には選択に殆ど迷わずに、すぐに意思決定した。東京の家は賃貸のままで当面良いと思い、山の家は自ら建てることにした。 理由は簡単で、

1)当然山の方が圧倒的に安いから(土地の値段は約100分の1) と、
2)(東京の家は賃貸でもいいが)山の家は賃貸では良い物件が見つからなかった
からだ。

こうして東京にはお金をかけずに、山に多少投資をすることとなった。さて、場所の選定だ。僕は、八ヶ岳などの大自然のど真ん中につくりたいと主張したが、家の中の ”抵抗勢力”は、文化的な香りがあって、友達が集まる事が出来る便利なところが良いと、 主張して折り合わない。結果的には、押し切られて、多少文化の香りがする浅間山の麓を選ぶことになった。ま、これも山には変わりない。

昨夏に山に遊びに行ってたときに、何気なく土地を見ていたら、見晴らしの良い土地 がかなり安く出ていたのを見つけた。迷わずに購入申込予約を入れた。何と25分違いで他からも2件、申込が入ったらしい。やはり、スピードが全てである。そして、ビルダーもすぐに決めた。全てカナダからの直輸入の木材だ。テロ後に為替が一 時的に円高に振れたときに1ドル115円で迷わず仕切って決めた。こうして、とんとん拍子で話が進み、いよいよ3月中旬に完成する。とても楽しみだ。

子供たちは、自転車を乗り回し、昆虫を網で捕まえ、山を歩き、自然に親しむことができる。冬は、大自然の中でスキーを楽しみ、夏にはバーベキューができる。空気も美味しいし、健康にもよい。

グロービスのゲストハウス兼セミナーハウスとしても活用しよう。はるかに及ばないが、キャンプデービッドのような位置づけとしても使える。海外から重要なお客さんが来日した際は、招待することができる。暖炉を囲んで、腹を割って語り合ったらすぐに親しくなる事ができるだろう。完成してから第一号ゲストとして招待しているのが、エイパックス・パトリコフグループの創始者のアラン・パトリコフ氏だ。4月には、グロービスの部門リトリート(研修)にも活用しようと思っている。

夢が膨らむばかりである。

自然の中に身を置くと、世界の見方も変わるかもしれない。

このコラムも、経済やビジネスに偏らずにもっとバランスのあるものになるかもしれない。40才になるので、それも良いのかもしれない。

 

京都大学工学部卒、ハーバード大学経営大学院修士課程修了(MBA)。住友商事株式会社を経て、1992年株式会社グロービス設立。1996年グロービス・キャピタル、1999年 エイパックス・グロービス・パートナーズ(現グロービス・キャピタル・パートナーズ)設立。2006年4月、グロービス経営大学院を開学。学長に就任する。若手起業家が集うYEO(Young Entrepreneur's Organization 現EO)日本初代会長、YEOアジア初代代表、世界経済フォーラム(WEF)が選んだNew Asian Leaders日本代表、米国ハーバード大学経営大学院アルムナイ・ボード(卒業生理事)等を歴任。現在、経済同友会幹事等を務める。2008年に日本版ダボス会議である「G1サミット」を創設。2011年3月大震災後に、復興支援プロジェクトKIBOWを立ち上げ、翌年一般財団法人KIBOWを組成し、理事長を務める。2013年6月より公益財団法人日本棋院理事。いばらき大使、水戸大使。著書に、『創造と変革の志士たちへ』(PHP研究所)、『吾人(ごじん)の任務』 (東洋経済新報社)、『人生の座標軸』(講談社)等がある。

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