世界同時不況 2 〜心の満足主体主義へ 

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実は2月に描いた世界同時不況のシナリオの際に、ボンヤリとしながら、世界同時不況の後の時代を考えていた。

以前指摘した通り、米国経済が下降局面に入ったときには、世紀末に世界的な同時不況となり、今回は長引くことが予想される。長引く不景気の中で、今後発生する疑問は、資本主義が人類にとって本当に良い仕組みなのかどうか、という点だと思う。

共産主義が崩壊した後に、世界を支配している経済原則は、カネへの欲望によって経済を動かす、資本主義的イデオロギーだけだ。

しかし、資本主義によって、自然破壊が起こり、地球温暖化や環境ホルモンなどの問題が発生したりで、必ずしも環境や人類の健康に合う仕組みとはなっていないだ。今後は、新たな枠組みが模索されることになると考えている。

僕は、数年前に、資本主義の守護神たるハーバードビジネススクールで、マーケットの概念と資本主義の理念を徹底的に学んだ。HBSでは、フォーブズの資産家ランキングの様に、いかに多くの個人資産(Net Worth)を創るかが、一つの価値体系になっています。つまり、「お金を創った人間=偉い」という価値観がありました。

僕は、2年間かけて、社会に価値を創造することによってお金を創る為の手法を科学的に学びました。友人とは、「2001年1月1日にどっちの方がNetWorthが多いか、一ドル賭けようか」とかなり本気で語り合ったものです(このエピソードはグロービスが運営していたG-NETというフォーラムでも披露した)。

でも、日本におけるバブル、そしてアジアのバブルで拝金主義的に生きてきた人々の生きざまを見ると、本当にそのカネの尺度が、そんなに重要なのか?と疑問に思い始めた。

カネというのは、あくまでも、価格の尺度であり、交換の媒体であり、貯蔵の手段であって、経済的理論の貨幣以上でもそれ以下でもないと思う。そのカネを増やすことによって、ビリオネアになっても、その尺度では偉いけど、違う視点から見るとあまり偉いとは、言えない。

今世紀末の世界的同時不況の中で、人々の考え方が変わり、資本主義的価値体系からのパラダイムシフトが起こると僕は思っている。そもそもGNPが増える事がそれほど重要なのか?あるいはお金を増やす事がどれだけ価値があるのか?という疑問が当然のごとく湧きあがってくると思う。

では、次のパラダイムはどういうものだろうか?

20世紀前半は、軍事力の時代であり、20世紀後半は資本主義の時代であり、21世紀は心の満足主体主義の時代に入ると思いますね。

つまり、「いくらお金を儲けた」よりも「どれだけ多くの人に愛・夢・感動を与えたか?」「どれだけ多くの人に新たな生き方を導かせたか?」という心の豊かさに価値がおかれる時代に入ると思う(もしかすると、資本主義・軍事主義の時代の前の価値観に戻ることを意味するのかかもしれない)。。

ビジネスを行っている僕にとって今一番重要なのは、お金儲けよりも、いかに多くの価値を生み出したが興味があることだ。また、「良き仲間とどれだけ夢を共有かできるか?」であり、「いかに多くの方に良い教育を提供するか?」、「いかに多くの方に良い生き方の気づきを与えられるか?」、そして「ベンチャーキャピタル投資を通して、如何に新たな社会価値を創れるか?」などだ。個人として重要なのは、良き友達がどれだけいるかであり、グロービスのスタッフや受講生のネットワークは僕にとってかけがいの無い財産だ。

しかし、一方では、当然、売上げ・利益はとても重要になる。ちょうど、売上高・利益という数字の尺度と、いかに多くの方に満足を与えているかという心の尺度と、2つの尺度同時に存在しており、相互に関連しているようなものだと理解している。そして双方のバランスが重要になると思っている。

経営者の僕としては、売上げ・利益を上げることは、ステークホールダーに対する義務だと思っている。利益が上がらないと、多くのスタッフの給与を払えないし、株主にリターンを生み出せないし、関連するステークホールダーに、利益を還元することができなくなる。そして、多くの方を不幸にする。この部分は資本主義的はパラダイムの枠組みだ。

しかし、今後は、売上げや利益の源泉は、「どれだけ多くの方に精神的充足感を与えているか?」という尺度によって変化する気がする。つまり、会社が提供する商品・Tービス、更には会社の経営理念そのものが、精神的な満足を与えなければ、売上げ・利益が上がらないことになる。

従って、売上げ・利益という資本主義的な枠組みを維持しながら、新たな尺度や価値観が重要視される世の中になっていくと思う。

社会・経済の混乱の中、世紀末にかけて、人々はどのように価値観を変えていくのだろうか?もしも、僕らの考えているシナリオが正しいとなると、21世紀は非常に”豊かな”世紀になるかもしれない。

これから一緒に21世紀を創っていく仲間と一緒に考えていきたい問題である。 
良い時代にしたいですね。(^^)/

 

京都大学工学部卒、ハーバード大学経営大学院修士課程修了(MBA)。住友商事株式会社を経て、1992年株式会社グロービス設立。1996年グロービス・キャピタル、1999年 エイパックス・グロービス・パートナーズ(現グロービス・キャピタル・パートナーズ)設立。2006年4月、グロービス経営大学院を開学。学長に就任する。若手起業家が集うYEO(Young Entrepreneur's Organization 現EO)日本初代会長、YEOアジア初代代表、世界経済フォーラム(WEF)が選んだNew Asian Leaders日本代表、米国ハーバード大学経営大学院アルムナイ・ボード(卒業生理事)等を歴任。現在、経済同友会幹事等を務める。2008年に日本版ダボス会議である「G1サミット」を創設。2011年3月大震災後に、復興支援プロジェクトKIBOWを立ち上げ、翌年一般財団法人KIBOWを組成し、理事長を務める。2013年6月より公益財団法人日本棋院理事。いばらき大使、水戸大使。著書に、『創造と変革の志士たちへ』(PHP研究所)、『吾人(ごじん)の任務』 (東洋経済新報社)、『人生の座標軸』(講談社)等がある。

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