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勝てるチームを作るには ~ラグビーワールドカップからの教訓~

投稿日:2015/10/22更新日:2019/04/10

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9月19日、ラグビーワールドカップ2015イングランド大会の初戦で、日本が南アフリカを破り、世界中を驚かせた。BBCはこの勝利を「奇跡」「爆弾」「ラグビー史上最大の番狂わせ」と呼んだ。誰もが日本の「勇敢なる桜の選手たち」のスキルと精神を称賛した。

騒ぎは当然だ。なぜなら南アフリカは、過去2回ワールドチャンピオンに輝いており、ラグビーワールドカップで負けたことは3回しかなかったのだから。一方の日本は、ここ21年間、ワールドカップで1度も勝ったことがなかった。

僕は、日本チームがこのような大勝利を収められた理由は4つあると考えている。

1. グローバルなチーム

日本チームには、多様な国籍を持つ外国人選手が6人いた。これは、全体の40%である。

2. 世界クラスのリーダー

日本のコーチであるエディー・ジョーンズは、オーストラリア人である。彼は2001年から2005年までオーストラリア代表のコーチを務めたのち、日本(クラブレベルで)と南アフリカ(アシスタントコーチとして)の両方で働いている。そして2012年、日本代表ヘッドコーチに就任した。また、チームキャプテンのマイケル・リーチは、フィジー系ニュージーランド人である(彼は2013年に日本に帰化している)。

3. 多様なスキル

日本は昔から、モール(即席のスクラム)が強く、スピードも抜群だ。そこに外国人選手を加えたことで、かつての日本が弱かったパワーが強化された。もともと日本が持っていた強みと外国から輸入した新しい強みを組み合わせることで、チームの戦術の幅が大きく広がった。

4. 国際試合の経験

かつての日本代表は、練習の大半を日本で行っていた。しかし、アジア5カ国対抗やパシフィック・ネーションズカップなどの国際大会に積極的に出場するようになってからは、定期的に世界トップレベルの大会に出ることに慣れている。
……ところでこの話、ビジネスの世界およびLinkedInと、何の関係があるのだろうか。

日本の近代化が急速に進んだ19世紀後半、政府が掲げていたスローガンのひとつに、和魂洋才がある。これは、「日本の精神と西洋のノウハウの融合」を意味する。

このフレーズは、アップデートが必要だと僕は思う。ラグビー日本代表が成長したのは、日本の精神と西洋(外国)のノウハウを融合したことだけが理由ではない。外国のリーダーおよびマンパワーを導入したこと、そして積極的に国際試合での経験を積んだこともその理由だと考えられるからだ。

ラグビー日本代表を躍進させたこれらの変化は、日本企業、さらには日本社会全体で今まさに起こっていることではないだろうか。

たとえば、外国のマンパワーである。日本は移民を受け入れないことで悪名高いが、それでも外国人が、特に深刻な移民のための議論を必要とせずに、どんどん国内に流入している。僕が経営しているビジネススクールがいい例だ。スクールの英語および日本語のMBAクラスには、40カ国以上の学生が通っている。また、スクールの職員は、9カ国から来ている。最近、東京にある有名な建築家のオフィスを訪れたのだが、その従業員の3分の1は外国人だった。ラグビー日本代表の40%には満たないが、かなり近い数字である。日本企業はグローバルなマンパワーを積極的に取り入れることで、多様なスキルを手にしているのだ。

外国人リーダーも増えている。日産自動車の運転席には、21世紀の初めから、V字回復の伝説を持つカルロス・ゴーン氏が座っている。最近では2015年4月に、日本最大の製薬会社である武田薬品工業のCEOに、フランス人のクリストフ・ウェバー氏が就任している。

日本のビジネスパーソンは、国際的な戦場でビジネススキルを磨く必要性を認識しつつある。僕の会社には、ビジネススクールのほかに、ベンチャーキャピタル部門がある。そのため、日本で最もホットな新しい会社を、間近で見ることができる。そこで気がついたのだが、香港やシンガポール(大中華圏およびASEANを見据えて)、サンフランシスコ(シリコンバレーの近くにいるため)など、あえて拠点を日本国外に置く若きCEOが増えている。日本のビジネスリーダーたちは、グローバルな競争力を高められる唯一の舞台は、地球であることを知っているのだ。

つまり、上記の内容は、ラグビー日本代表に限ったことではないと言える。

実に多くの日本の組織――スタートアップから大企業、クリエイティブスタジオからビジネススクールまで――が、組織力を高め、世界で勝利を収めるために、グローバルなリーダーおよびマンパワー、さらにはグローバルなマインドセットの導入に力を注いでいる。

だから僕は、スポーツに次いで日本において「奇跡」や「破壊的創造」が起きるのは、ビジネスの世界だと期待している。

(訳:堀込泰三)

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