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ダボス会議2011~(2)ダボスの夜

投稿日:2011/02/02更新日:2024/11/26

ダボスの夜は、異様な盛り上がりを見せる。夜のメイン会場は、ダボスの街中に点在するホテルである。ここで、簡単にダボスの位置関係を説明しよう。

ダボス会議が開かれる昼間のメイン会場は、「コングレス・センター」である。ここは、会議専用の場で、厳重な警備で、招待を受けたメンバーしか入れない。今年新たに拡張されたコングレス・センターは、南北をアルプスの山で囲まれた谷間の街ダボスのど真ん中に位置する。その会議場を挟んで東西に細長く楕円状に広がる街中に点在するのが、ホテルである。そこに寝泊まりしながら、参加者は夜に繰り広げられるイベントにも参加するのだ。

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このダボスの夜の特徴は、「インタラクティブ・ディナー・セッション」と呼ばれる公式プログラム以外は、全て非公式のものだ、という点だ。従い、プログラムにも掲載されていない。原則招待を受けないと、どこにも入れないのだ。一方、非公式と言う事もあり、メンバー以外でも参加が可能となる。

このダボスの夜は、大体3つの時間帯に分かれて、繰り広げられる。18時から20時に開催される「レセプション系」。20時から22時に行われる「夕食系」。そして、22時からエンドレスに行われるダンスを伴う「パーティ系」だ。

レセプション系で一番多いのが、大学の同窓会だ。主要な大学(と言っても世界でもトップ20のみだろう。日本からは、東大と慶応大学のみ)の学長は、ダボス会議に招待されている。その卒業生や教授陣も当然何名か招待を受けている。従いそこで、卒業生を招いた大学のレセプションが開催されることになるのだ。

僕は、今年は、イエール、ハーバード・ケネディ・スクール、そしてオックスフォードに友達のゲストとして参加した。いつも思うのだが、いずれはグロービスの卒業生が活躍するであろうから、将来は「GLOBIS RECEPTION」を開催したい、と。

次は夕食系だ。夕食系で一番多いのが、国単位の主催によるものだ。Japan Night、Korean Night、Indonesian Night、Indian Nightなどの国の威信をかけて開催されるものだ。それぞれ、国の特徴を前面に出して、ダボス会議に参加するVIPを招き入れる。彼らに来てもらい、かつ満足してもらえると、外交やビジネスにも有利になるのだ。ジャパン・ナイトに関しては、後で詳述する。

夕食系で次に多いパターンは、招待制の夕食会だ。企業や証券取引所などが、参加者の一部を招待するものだ。僕も、今年初めて招待を受けたが、他とバッティングして参加はできなかった。

そして、最後にパーティ系だ。夜10時を過ぎると、ダンスを伴うパーティが繰り広げられる。僕は、ダボス会議に参加した2004、2005年ともに、アーサー・D・リトル主催のダンス・パーティを楽しませてもらった。ドリンクやカナッペは、全て無料。シャンパンを思いっきり飲み干し、生バンドに合わせて踊りまくる。その合間に、「アーサー・D・リトル」とボーカルが叫ぶのだ。

いわゆる無料の広告モデルに近いのだろう。同様のものを、マッキンゼーやグーグルが開催している。インドのWIPROは、クラブを借り切って、「ボリウッド・ナイト」を2,3年前より始めている。クラブの中に入るとインド人が、ボリウッド音楽で踊り、楽しんでいた。

ダボス会議は、男性中心と思いきや、女性も凄く多い。夜に参加している限りは、男女比が半々ぐらいに感じる。

全てのイベントは、招待制で基本無料だ。招待ベースと言いながら、行けばたいてい入れてもらえる。ダボスも4回目となると友達も増える。そこら中に顔を出して、握手をしたり、抱き合ったりして再会を喜ぶ。最近は、早朝ミーティングに呼ばれることが多いので、遅くまでは遊べない。その点がちょっと残念だ。参考までに一日目の僕の行動を紹介しよう。

先ずは、レセプション系だ。ハーバード・ケネディ・スクールの卒業生の会に顔を出す。そこで、ラリー・サマーズに挨拶をして、次にイエールの卒業生の会に参加。マイケル・ポーター、そしてジョシュ・ラーナーというHBSの教授と話をする。元外務大臣の川口順子さんとも会い、車に乗せてもらい移動する。

3件目からは、夕食系、企画もの系。チューリッヒ・ファイナンシャル・サービスが企画したオペラナイトだ。素晴らしいセッティングだ。そして、ホテルを移動して、4件目のワイン・テースティングに向かう。僕は、ここの常連になっているので、知り合いも増えてくる。シャンパンのクルッグで有名なクルッグ家の方も来られていて、シャンパンを紹介してもらうのだ。

その合間に、中国の国営放送CCTVが企画したチャイナ・ナイトに向かう。これで5件だ。ここで、中国料理のダンプリング(小麦粉などでつくった団子)を味わう。そして最後の6件目、雑誌のフォーブス企画のカクテル・レセプションに顔を出した。

翌日の夜は、クリントンのスピーチの後に、夕方7時半から10時過ぎまでジャパン・ナイトだ。今回のジャパン・ナイトには、最初から最後まで長居することにした。なぜならば、僕も日本代表の一角を占める中堅の立場になってきたと思うので、ホストの一人として、ゲストを款待し、盛り上げる必要があると感じたからだ。ホスト役を勝手に引き受けると、気がつくことがあった。

ジャパン・ナイトのホスト役だと、ホームで戦っている気分になれる。つまり、「ようこそ、ジャパン・ナイトへ」から始まり、「食事、お酒を楽しんでいますか?」と話を持って行けるからだ。すると、先方は無料招待の立場でもあるので、「日本食は、大好きだ」ということになり、名刺交換をして、僕ら日本のペースで会話が進むのだ。

今年のジャパン・ナイトは例年よりも来客が多く、とても盛況だった。僕もホスト役の合間を縫って、寿司、おでん、串カツを頂き、大満足だ。日本酒の大吟醸をしこたま飲んでしまった。やはり、ジャパン・ナイトは最高だ。今年と昨年は、JETROがスポンサーしてくれた。とても重要な催しなので、来年も是非継続して欲しい。

次に、ドイツの会合に参加し、オックスフォードの卒業生の会とマッキンゼーのダンス・パーティを行き来した。その後に、ボリウッド・ナイトに行こうと思ったが、くたくたになったので、帰ることにした。夜の会合は、基本全てがスタンディングなので、足が疲れ切ってしまうのだ。

帰る途中で渋滞に遭遇。夜中の11時を回っているのに、全く動かない。足がくたくたなので歩く気もしない。これが、ダボスの夜の風景だ。

2011年2月2日

三番町の自宅にて

堀義人

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