連座の誤謬(guiltbyassociation)
仮にある主張が正しかったとしても、その主張を支持する人間の中に間違った言動をしている人間がいると、「彼/彼女も正しいと言うことなんて信じられない。間違っているに違いない」といったように、発言の正否を、内容の正しさではなく、発言した人の人格で判断してしまうという誤謬。内容と人格とを混同して正しい判断ができない状況と言える。
ビジネスの場面で、「あいつの言うことだから信用はできないな」などと軽率にレッテル貼りをして判断することは、時として事業機会を逃したり、顧客からの不満を聞き逃したりするなど、重大な損失にもつながりかねないため要注意である。人間は、思考をショートカットするために、レッテル貼りすることを好むものだが、最低でも、会社の業績に影響を与えかねない重要な情報については、人格を離れて内容のみで冷静に判断することを、意識して実践すべきである。
なお、個人の好き嫌いが高じ、レッテル貼りが過激化すると、発言の内容とはまったく無関係に相手をむやみに攻撃するようになる。いわゆる人格攻撃だ。人格攻撃は、内容そのものを議論するわけではないため、ほぼ不毛な結果に終わる。
人格攻撃は、議論として最もみっともなく、かつ自分自身の評価を下げる行為と心得るべきである。自分自身の信用を守り、多くの人に受け入れてもらえる土台をつくるためにも、人格攻撃だけは避けるよう意識すべきである。
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