コーポレート・ブランディング(CorporateBranding)
単独の製品・サービスのブランディングではなく、企業そのもののブランド構築を指す。
コーポレート・ブランディングの重要性が指摘されたのは、我が国では1980年代以降であり、「CI(コーポレート・アイデンティティ)活動」という名で、広く企業に導入された。
ただし、CIは当初、多くの場合はロゴのデザイン刷新などの外形的な活動にとどまり、本来の目的である企業のブランド価値向上を認識できないケースが多かった。しかし中には、CI活動の本質を捉えて、企業のブランド価値向上につながった成功事例がある。
その1つが教育産業大手のベネッセコーポレーションである。同社は、1995年に社名を従来の「福武書店」から「ベネッセコーポレーション」へ変更した。ベネッセ(Benesse)とは、ラテン語で「良く」という意味の「bene」と「生きる」を意味する「esse」を組み合わせた造語で、同社の企業理念をそのまま社名として採用したのだ。
変更当時、同社の売上高の8割は「進研ゼミ」に代表される通信教育事業で占められていたが、少子化の流れに伴って、国外市場を狙っての国際化ならびに育児・介護などの新事業への展開を志向すると共に、株式公開も目指していた。こうした戦略変更に合わせて実行されたCI活動では、社名はもとより、ロゴ・マークをはじめとするコミュニケーション・ツールをすべて大幅に改訂し、公器としての社会への貢献や、海外展開・業容拡大という戦略転換の意思を内外に強く知らしめることを目指した。そして結果として、「生涯学習事業」「グローバル・カンパニー」というイメージを浸透させ、マーケティング活動や採用活動を後押しすることに成功している。
次回は「CSRブランディング」を取り上げます。
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