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経済拠点としての日本の魅力度を上げよ!~経済の成長なくして、日本の諸問題の解決がない

投稿日:2011/09/05更新日:2019/04/09

初稿執筆日:2011年9月5日

第二稿執筆日:2015年2月22日

「100の行動」の基本理念に、「創造と変革による経済成長」を掲げた。国力の源泉である「強い経済」がないと、持続性のある国家運営は実現できない。経済が弱体化すると、産業が衰退し、雇用が減り、税収が減り、財政が破綻し、技術開発や人材への投資も細る悪循環に陥る。今日本が抱えている諸問題を解決し、好循環に導くには、経済成長を起爆剤として、財政、社会保障の問題などを解決する以外に方法はない。経済の成長無くして、日本の諸問題の解決が無いと断言しても良い程だ。

これまでの政権は、間違った理念に基づく経済運営をしてきた。何が間違っているかというと、財政出動による景気刺激策を中心として、経済を成長させようと腐心してきた点だ。例えて言うと、病気に苛まされている体にカンフル剤を打ち、瞬間的に刺激を与えて元気にさせているようなものである。その結果、心身ともに疲弊し病気が更に悪化する一方だ。そして今、カンフル剤を打つ資金も底をつきつつある状況だ。

それでもなお、政治はカンフル剤を打とうとする。構造改革は、変化を恐れ、選挙を意識した既得権益側に立つ者たちによって押し戻され、断たれてきた。その点、今の安倍政権は、改革を断行すべく立ちあがっている。僕たちは改革志向を持つ政治家を見極めて、しっかりと応援し続けなければならない。

1.経済の体質改善のために、「開国(TPP/FTA)」「経済拠点としての魅力度アップ」「新陳代謝によるイノベーション」の3つを追求せよ!

今、必要なのは経済政策の根本を改めることにある。体が弱体化しているときは、短期的な刺激策を打つよりも、抜本的な体質改善を図る必要がある。体質改善が行われ、健康な体に戻れば再び自律的に成長していくのである。その「体質改善」のために必要なものは、次に述べる3つの施策である。

1)【開国(TPP/FTA)】 経済連携と自由貿易を通して、国を開き、世界からヒト、モノ、カネ、チエ、技術、情報などが自由に出入りする国とすること(行動8)

2)【経済拠点としての魅力度アップ】開国された市場に多くのヒト、カネなどが集まるためには、「6重苦」の解消を通じて日本の経済拠点としての魅力度を高める(行動9)

3)【新陳代謝によるイノベーション】規制緩和を徹底的に進め新規参入を促し、イノベーションによる民間活力を最大限に発揮させ、適切な新陳代謝が進み、新たな企業が次々に生まれるバイタリティ溢れる国とする(行動10)

健康な肉体では毎日、数億個の細胞が死に、そして新たに生まれるという新陳代謝を繰り返している。「体質改善」とは古いものを守ることではなく、むしろ積極的に古くなった不要なものの退場を促し、新たな細胞を生み出すということである。社会という肉体が不健全な細胞(企業・産業)を維持するとガンなどの変異体となり、全体をむしばむ可能性がある。ゾンビを守っている場合ではない。

今まで投下してきた助成金や救済措置を止め、徹底的に国を開き、世界に伍して戦える経済拠点としての魅力度を高め、規制緩和をすることにより、新規参入を促す改革を断行してほしい。

日本は現在、人口減少社会という困難な社会・経済問題を抱えている。2014年は26万人の人口が自然減となり、減少傾向は8年連続、過去最高となってしまった。この流れはなかなか止まらない。人口とGDPは強い相関関係があるといわれる。人口は資本同様に経済成長の重要な要素なのだ。厳しい状況はそう簡単には好転しないだろうが、経済成長の視点からこの問題をとらえることは重要だ。(少子化対策は行動39厚生労働編で詳しく述べる。)

2.「6重苦」を打開して、日本の生産拠点としての魅力を上げよ!【一歩前進】

日本はこれまで長い間の政治的不作為による「6重苦」で、経済成長の足枷をはめさせられてきた。具体的には、

1)高い法人税

2)二酸化炭素排出抑制をうたった京都議定書の履行義務

3)労働慣行

4)円高による輸出不況

5)FTA・EPA等の自由貿易の遅滞

6)電力不足問題

の6つが経済活力を削いできた。このうち大きな阻害要因であった円高は、アベノミクスにおける大胆な金融緩和政策により状況が好転した。また、2012年に行われた京都議定書第8回締約国会議(COP/MOP8)において、日本が京都議定書を単純延長する第二約束期間(2013年から2020年)に参加しないことを決断したので、2)についても今回の行動からは外すこととする(本稿のオリジナルには記載があったが、行動が実行されたとみなし、本稿からは取り下げて末尾に参考として記載するに留める)。

FTAやEPAの議論はすでに行動8で、電力問題については行動7で述べてきた。また、本稿では残る内容について議論のポイントを示し、日本が魅力的な経済拠点となるための課題を整理する。

3.法人税の引き下げを!【一歩前進】

経済拠点としての日本の魅力度を上げるために、日本の法人税の実効税率(約40%)を、国際的水準(25-30%)を目指して引き下げることが不可欠である。現在の安倍内閣は段階的な引き下げの方針を示している。積極的に評価したい。

「法人税を下げると、税収が下がる。一方、その財源がない」、という意見をよく聞く。僕は逆だと思っている。法人税を下げるとむしろ中長期的には、法人税収が上がると予測している。そもそも法人税が40%から30%に下がると、税引き後利益が10%強上がり、株価は理論的にその分値上がりする。さらに、日本の経済拠点としての魅力度が上がると、投資を呼び込めるのである。短絡的に法人税下げ=税収減にはならない。詳しくは「行動31財務省編」の歳入改革の項目で述べる。

もっとも重要なことは、日本の経済拠点としての魅力度を上げ、工場、投資、人材を呼び込み、経済活動の密度やスピードを上げることである。隣の韓国は、その手法で、日本企業の工場誘致に成功しつつある(注記。朴政権以降は日韓関係が悪化したので、停滞しつつある)。日本がその施策を行わないと、隣国に優位性をさらに奪われていくことになろう。

4.労働慣行の硬直性を打開せよ!

日本の労働慣行は、先進国の中でももっとも硬直化している。解雇はできないし、非定期雇用さらには、派遣労働者の雇用も今後さらに規制の網がかかることが予想される。ホワイトカラーエグゼンプションなども「残業ゼロ法案」と揶揄されている。「残業ゼロ法案」というよりもむしろ「無意味な残業ゼロ法案」だと思う。時間に対して報酬を払う発想は、工場労働が中心だった前近代的なものである。知識労働においては、時間よりも成果が重要なのだ。働き方の発想を根本から変える必要があろう。

本件に関する詳細は、「行動42厚生労働省編」で述べることにするが、労働慣行の硬直性を打開しない限りは、日本の経済活動のさらなる停滞を招き、雇用を減らすことになろう。解雇規制の撤廃や労働者派遣法、労働契約法の見直し、同一労働同一賃金の理念を具現化するなどの大改革で、岩盤を打破しなければならない。

5.魅力を高める「人材戦略」と「市場のゆがみの是正:競争」を!

日本が経済拠点としての魅力度を高めるためには、人材供給源としての日本の教育を強化する必要がある。英語教育の強化、経済界と連携した高等教育の拡充、プロフェッショナルスキルの向上、企業家精神の醸成と発揮などによる労働力の質を高めることが、喫緊の課題である。本件に関する詳細は、文部科学省における行動で詳述する。

また、企業の新陳代謝を促進するとともに、過当競争の長期継続による消耗戦から脱却して、業界再編のための企業結合(M&A)を行い、世界次元で戦える規模にまで引き上げることも喫緊の課題である。マイクロソフトやサムスンのように、高い市場占有率が国際競争力を生み出している現状を踏まえれば、国内の市場占有率の高さによって事前規制するような競争政策(独占禁止法政策)は、逆に企業の国際的な競争力を殺いでしまう。今、大事なことは、経済的弱者を守るための独占禁止法政策ではなく、世界で戦える産業を創出する競争政策を実現させることにある。そのためにも、独占禁止法の見直し(審査基準の透明化、適用基準の緩和、審査の合理化など)が求められる。詳しくは「行動81:内閣府編」の項目で述べることとする。

上述の通り、日本の経済拠点としての魅力度を高め、日本企業が世界においてイコール・フッティングで戦える環境を整備したい。それができなければ、日本の経済は衰退し、雇用が失われていくのみの結果となる。何度も繰り返すが、国力の源泉である「強い経済」がないところに、持続性のある国家運営は決して実現できない。

そのために必要なのは、経済成長戦略をつかさどる組織だ。米国では国家経済会議が存在する。自民党が政権に復帰し「経済財政諮問会議」が再構築され、産業競争力会議にても活発な意見交換がなされている。積極的に評価したい。権限が付与された司令塔のもとで、総合政策を立案し、実行し、レビューし続けることが重要なのである。経済拠点としての日本の魅力度を向上するためにも、強い政治の意思とリーダーシップが求められている。繰り返しになるが、経済の成長なくして、日本の諸問題の解決はないのである。

<参考>オリジナルの「100の行動」に記載の文章

京都議定書の履行義務の延長拒否を!

なぜ、アジアの中で日本だけが、二酸化炭素(CO2)排出削減の履行義務があるのか。今の日本の競争相手は、韓国と中国だ。韓国には、削減履行義務が無い。中国は、日本が排出権を獲得するために年間数千億円もの資金の流入という形で恩恵を受けている。前回のカンクーン会議で、日本は京都議定書の単純延長を拒んだ。この単純延長は、断固として受けてはいけない。地球環境のために二酸化炭素の削減が必要なことは自明だ。但し、この削減は、韓国・中国と同じイコール・フッティングでなければ、日本の産業の弱体化を招くだけである。

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