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司法に望むこと

投稿日:2011/08/08更新日:2019/04/09

初稿執筆日:2011年8月8日

第二稿執筆日:2015年1月28日

小・中学生の社会で「三権分立」を学ぶ。「三権分立とは、立法、行政、司法、つまり、法の制定、執行、適用を分け、相互監視することにより、法に基づき国家を運営する手法だ」と学んだ。

司法(裁判所)には三権分立における相互監視機能として、立法府に対しては、国会で制定した法律などが憲法に違反していないかを審査する違憲立法審査権の行使、行政府に対しては、行政事件裁判権の行使が認められている。

今までこの日本のビジョン「100の行動」では、「3)政治家」や「4)官僚に望むこと」を書いてきたが、司法の働きに関しては、国民にとってはなじみが薄いものではないだろうか。

僕の友人にも数多くの優秀な弁護士、裁判官や検察の方がいる。皆、難関の司法試験を突破して、さまざまな志を持ちながら多様な分野で社会正義を貫こ

うと努力されている。その方々に、いくつか「司法に望むこと」ということで提案してみることにした。

1.「目立ったもの」狙い撃ちを控えよ!

ホリエモン事件、村上ファンド事件を見て疑問に感じた点は、「目立ったもの」を狙い撃ちし、目立っていない人・企業は、重罪を犯そうが、見逃すケースが多いという点だ。

逮捕した後に捜査情報を記者クラブにリークして、逮捕された人々は反論できない拘束状態のまま、一方的に悪者にされていくケースが見られた。その時点で、社会的制裁が済まされており、企業活動がほぼ壊滅的打撃を受ける。その後裁判がどの様に進展しようが、既に社会の世論は形成されているのである。

僕が一番疑問に思ったのが、姉歯事件だ。検察は、姉歯元建築士、イーホームズ社長、木村建設社長、ヒューザー社長等をそれぞれ起訴したが、いずれも耐震偽装とは無関係の別件容疑だ。そもそも、この問題を最初に告発したイーホームズの社長は、一部の書類をバックデートさせたことによる文書偽造の軽罪で逮捕され、その結果、会社は清算を余儀なくされた。

社会的な悪を裁くことは、望ましい。だが、新たな価値を創造しよう、社会を良くしようと思っている人々を、狙い撃ちし、時には別件で逮捕して、制裁を加えることが社会にとって正しいことかどうかは、疑わしいところだ。

ホリエモン、村上ファンド事件以降、起業家志望の学生は激減し、新興市場の株価も低迷したままだ。今や、誰も目立とうとしなくなった。これでは、社会の活性化は、望めない。全てが検察の責務とは言わないが、同様の罪を犯した企業・人よりも格段に重い判決だったと思われた。「目立ったもの」よりも、「本当に悪いもの」に公平・公正な捜査をして欲しい。

2.裁判の透明性とスピードアップを!

多くの国民は、時間・労力・コストを要する現行の裁判手続きを忌避しがちである。その結果、不透明な解決方法や泣き寝入り(不利益)を生じさせている。一例ではあるが、通常の裁判は原則1回の期日で判決を出すような迅速化・簡易化されたものにしてはどうであろうか。

3.法曹界の人材流動の促進を!

裁判官には「民主主義、市場経済を守る」使命を、検事には「人権を守る」使命を十分に認識してもらうためにも、全ての裁判官と検事を、弁護士として数年の実務経験のある者から任用してはどうであろうか。

さらに、法曹人材が、米国の様に政治、行政、企業、国際機関など様々なセクターで活躍することが求められる。最近増えてきてはいるが、司法試験合格者が法曹界のみならず、国家・地方公務員、国会議員政策秘書、企業内弁護士などの諸分野で、活躍して欲しい。

4.検察捜査の透明性の担保を!

「行政・検察とマスコミが結託すれば、誰でも犯罪者にできる」とある著名なコンサルタントが発言された。村木厚生労働局長の冤罪は、記憶に新しいところだ。

検察による被疑者取り調べの可視化と記録化の導入や、「推定無罪の原則」の徹底など、検察捜査の透明性や原則を徹底することにより、可能な限り冤罪の再発を防止する努力を惜しまないで欲しい。

5.不要・無意味な法律をどんどん改編させ、立法府を動かそう!

法律が実態から乖離(形骸化)している場合に、過度な法令遵守(コンプライアンス)により、経済活動に多大な影響を与えていることがある。その結果、違法リスクを恐れる「事なかれ主義」の蔓延を招き、社会全体のモチベーションの低下(いわゆる「コンプライアンス不況」)などの弊害も顕在化している。企業も政治家も官僚も、力を合わせて、不要・無意味な法律をどんどん改編すべく立法府に働きかけるべきであろう。

さらに、違憲状態にある「一票の格差」の可及的速やかなる是正を立法府に、強く促すべきである。升永弁護士が始めた「一人一票実現国民運動」は、国民の「法の下の平等」を保障するために、一票の格差に消極的な最高裁判事に対して、国民審査で「×」をつけるように新聞広告を使って国民に投げかけている。これは、画期的な取り組みだ。こういう国民運動を行ったり、疑問に思う経営陣の判断には、株主代表訴訟を行ったりするなど、国民一人ひとりが、何が正しいのかを考え、意見を表明し、自ら行動することが、法治国家としての日本のあり方を高めることにもなるのだと思う。

結局は、国民一人ひとりの法律に対する意識の高さが、司法を良くする行動に繋がっていくのであろう。

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