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7Sとは?企業戦略の実効性を図るフレームワーク

投稿日:2006/09/10更新日:2019/04/09

■使用場面

ある組織が、特定の戦略を効果的に実行しうるか否かを、組織のさまざまな要素の観点から確認する際に用いる。「3C」「バリューチェーン分析」といった、企業分析の基礎的フレームワークと併用されることが多い。

■フレームワークの内容

7Sは次の要素から成り立っている。
Strategy:戦略
Structure:組織形態の特徴(機能別組織/事業部別組織、あるいは組織の階層が多い/少ないなど)
System:公式または非公式なものも含めて意思決定のプロセスや情報の流れるプロセスに関する特徴。管理会計や人事制度なども含む
Style:企業文化(何をすると誉められる、怒られる、どんな人が評価されるといった、会社が持つ美意識のようなもの)
Staff:社員の特性・能力(慎重/大胆、思慮深い/フットワークが軽いなど)
Skill:企業に蓄積されている能力(社員個人の能力というよりは、人が変わっても受け継がれている会社の力。たとえば企画力に優れる、営業力に優れるなど)
SharedValue:明示的、もしくは暗黙に共有されている企業の価値観。自社の存在意義や方向性
なお、Strategy、Structure、Systemの3つを「ハードS」、Style、Staff、Skill、SharedValueの4つを「ソフトS」という。

■フレームワーク適用例

地方銀行Z社のケース:
Strategy:法人相手の融資中心から、個人ローンなど個人相手の融資にフォーカスを移す。しかも、他の銀行が貸さないようなハイリスクの顧客を積極的に狙う
Structure:他の銀行同様の支店別組織。組織の階層数なども平均的
System:これまでは、貸付残高と不良債権比率の少なさが人事考課上の最重要項目であったが、平均の貸付金利が新に重要評価項目に加えられ、また、不良債権比率の重み付けが少し低減された。びっくりするような抜擢や左遷はほとんどない
Style:まだ「法人担当者が上、個人担当者は下」の意識が強い
Staff:意欲、能力とも地方銀行の平均レベル。ハイリスクの個人融資の経験は概ね少ない。特に管理職層にそうした経験者が少ない
Skill:ハイリスクの個人相手の与信管理のスキルや情報の蓄積が十分ではない。ヘッドハンティングによりスキル獲得中
SharedValue:「銀行は公器」の意識が強い。ローリスクローリターン

■何が読み取れるか(分析のポイント)

7S分析でまず見なくてはならないのは、戦略と他要素との整合性である。「組織は戦略に従う」という言葉もあるとおり、戦略を実行できる組織になっているかが重要である。
上記Z銀行の例では、ハイリスクの個人重視という大きな戦略転換を打ち出したものの、その戦略を実行するのに適切な組織になっていないことがわかる。特に、すべてのソフトSが戦略と不整合を起こしている。頭では戦略変更の必要をわかっていても、能力も意欲もそれに追いつかないという状況である。このままでは、どれだけ綺麗な戦略を描いたところで、実行レベルで頓挫してしまう危険性が高い。なお、戦略とソフトSの不整合は、Z銀行に限らず、変革を打ち出している多くの会社で観察される事項である。
もちろん、Z銀行も、評価システムを変えたり、外部から人材を獲得したりと、ソフトSに働きかける施策をそれなりには打っているのだが、まだまだ戦略を徹底させるには不十分である。もっとメッセージ性の強い抜擢を行ったり、人事考課の仕組みを抜本的に変えたり、あるいはハイリスクの個人に対する与信の研修を徹底したりなどの施策を同時並行で行わないと、戦略の徹底は図れないだろう。
7Sはまた、組織の「慣性」を見るツールとしても使いうる。たとえ今現在はすべての要素が整合していても、特にソフトSが変わり難い場合(平均年齢が高い、保守的な人間が多いなど)、環境の変化に弱い組織ということができる。

■関連語

戦略、組織構造、人事システム、管理会計システム、意思決定システム、企業文化、能力、スキル、価値観

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