運転資本(WC)の計算方法、どれが正しいの? 

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これまで、「運転資本ってどういう意味なの?」、「運転資本は伸びているときこそ要注意」の記事で運転資本について解説してきました。この運転資本、「売上債権+たな卸資産-仕入債務」以外に、次のように表現されることもあります。


流動資産(現金及び預金除く)-流動負債(借金除く)
流動資産-流動負債(借金除く)

「どれが正しい運転資本なのか?」という質問も少なくありません。一概にどれが正しいということではなくて、運転資本の把握の「目的」の違いによって表し方が異なるのではないかと考えます。

まず、運転資本を以下のように表す場合について考えてみましょう。
流動資産(現金及び預金除く)-流動負債(借金除く)
流動資産-流動負債(借金除く)

事業活動のためには、売上債権やたな卸資産以外の資産も当然ながら調達する必要があり、手持ちの資金で不足するのであれば外部からの借金で賄う必要があります。つまり、事業を運営するために一体いくらの借金が必要なのか?という「借金の金額」(ストック)を把握するためには、売上債権やたな卸資産に限らず事業活動に必要な資産を全て含めて考えるのが妥当でしょう。


両者の違いは「現金及び預金」を含めるかどうかです。「現金及び預金」を含めない場合はネット借金額(借金から手元の現金及び預金を差し引いた純額の借金)を把握することになります。しかし、「現金及び預金」、つまり手元資金が0というのは現実的でなく、事業運営のために必要な手元資金を含めて借入額を把握する場合は、「現金及び預金」を含めて表しているということでしょう。 


一方、運転資本を「売上債権+たな卸資産-仕入債務」と表す場合はどうでしょうか?

 

 

 

 

 

 

この場合は、「いくらの借入金が必要なのか」よりも、例えば資金繰りや資金計画を立てる上で、当月から来月、あるいは当期から来期にかけて運転資本がいくら増加(あるいは減少)するか、すなわちいくら追加で借金をする必要があるか、という変化量(フロー)に関心があると考えます。B/Sを構成する項目の中でも売上債権、たな卸資産、仕入債務は売上、仕入取引によって日々変化する項目です。そこで、流動資産の項目の中から日々変化する分を抜き出して運転資本を算定することで、来月や来期の資金需要の変化分を把握することが目的と言えるでしょう。


いずれも事業を運営するためにいくら借金が必要になるかを把握する目的は同じですが、その目的が金額水準なのか月々の増減なのか、何に焦点を置くかによって把握方法が異なるのだと思います。


運転資本を机上の計算としてとらえるのではなく、運転資本を把握することが経営の何に役立つのかを考えることが大切ですね。

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