運転資本(WC)は売上が伸びている時こそ要注意! 

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売掛金やたな卸資産が滞留すれば、経営者も「資金繰りは大丈夫か?」と心配になるでしょう。ところが、このような悪い状況が起きていない場合でも、運転資本が増加することがあるので注意が必要です。売上が成長している、つまりビジネスが大きくなっている場合にこそ資金ショートするおそれがあります。『運転資本(WC)ってどういう意味なの?』の例を使って説明します。

(取引の流れ)
1月末に商品100を仕入れ、支払は1か月後(2月末)
2月末に商品100を100で販売(商品は仕入れた1か月後に販売)
4月末に商品代金100を回収(販売の2か月後に代金回収)
(仕入と売上が同額なのは単純化のため)

この取引を繰り返すのであれば、運転資本は200となります。つまり、200のおカネを調達しておけば後は売上代金の回収を仕入れ代金の支払いに充てられるので資金繰りは回ります。

さて、ありがたいことに得意先から5月よりこれまでの注文を2倍にしたいとの申し出がありました。そこでまず、今後の商品の仕入れを2倍の200にする必要があります。仕入の1か月後の6月末に仕入代金200の支払いが必要になりますが、売上代金の回収は当面100のままです(売上代金の回収が200となるのは3か月後の8月末)。200の仕入れ代金の支払いに対して売上代金の回収は100ですから、差し引き100の不足が発生します。これがまさに資金ショートであり、実際のビジネスであれば経営破たんと言うことになります。

そうならないためには、不足の100を追加で借り入れる必要があります。次月の7月末も同様に6月分の仕入れ代金200に対して回収される売上代金は100のままなので、さらに100の追加借り入れが必要になります(8月末には売上代金回収は200になるので、これを仕入代金の支払いに充当します)。つまり、追加の借入金が200必要になり、これは運転資本が200増加したことになります。このように、仕入代金の支払い期間、在庫の保有月数、売上代金の回収サイトに変更がない場合、売上の成長率に比例して運転資本も増加します。

売上が成長する、ビジネスが大きくなることは良いことなのですが、そのためのおカネが一時的に不足することがあります。売掛金やたな卸資産の滞留のような悪いサインでないため、ベンチャー企業などの成長著しい企業にとっては盲点になりやすいので注意が必要です。「ビジネスが順調な場合こそ資金需要に備えよ」、運転資本の2つ目のポイントです。

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