リニア、インバウンド対応…観光客を倍増させるための秘策は? 

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関西・観光客“倍増”計画 ~2020年に向けての挑戦~[2]

星野:関空は大変重要な空港だと思う。日本で最もいい空港だ。3000mの滑走路が2本あって、その2本は距離がきちんと離れていて2機同時発着ができるたりする。さらにキャパも余っているし、成田や羽田よりも素晴らしい。ただ、僕が海外営業を通して得た感覚では、「京都に行くなら関空よりも成田のほうが便利だ」と、エージェントは思っている。「それで新幹線に乗ったほうがよほど行きやすい」と。でも、もし関空と京都がリニアでつながっていたら、これは圧倒的に便利だ。ランキングで世界一となった京都に、関空に降りたらリニアですぐに行ける。20~30分で着くかもしれない…、もっと速いか。とにかく、あっという間に到着する。日本の観光を考えたら、東京と名古屋を結ぶより関空と大阪と京都をリニアで結ぶほうが良いのではないかと思うけれども、リニアに対する市長の熱い思いをぜひ(会場笑)。

門川:日本のために大事だと思う。完全な24時間空港は関空しかない。成田も羽田も完全24時間空港じゃない。京都・大阪・関空までリニアを通すのには9000億かかるけれども、それは9000億で首都圏に24時間空港ができるということだ。東京から関空までは75分なのだから。(延伸すれば)あと15分で関空に行ける。

これをJR東海に任しておくのは無理だ。今後の日本をどうするのかという国家政策の視点で考えなければいけない。現在のコースは41年前に第2東海道新幹線として決められたもの。また、全国新幹線鉄道整備法ならびにその施工例で、「新しい線を敷く場合は経済効果等をしっかり検証しなければならない」と法令で決まっている。にも関わらず、41年前に時速250kmで想定された第2新幹線を踏襲していて、検証がなされていない。しかし、必要なのは新しい国土軸で、第2新幹線ではない。関空までつなげたら首都圏にもプラスだ。これほどの国土強靭化はないと思う。

それで、新しい空港を首都圏に一つつくるのと同じ効果がある。もちろん大阪にも京都にも、西日本全体に効果がある。また、人口が減少していくというなかで、すべての鉄道が京都駅につながる。北陸線から湖西線から、旧東海道線から近鉄から、すべてにつながる。京阪にもつながる。そういうことを言って訴えているので、どうぞよろしく(会場笑)。京都のためだけではございませんので(会場拍手)。

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星野:京都は圧倒的なブランドだから、京都と関空を結ぶのはリニアに限らず大変重要だと思う。たとえば、世界経済フォーラムの「旅行・観光競争力レポート」ではスイスが世界一。日本では「インバウンドが多いからフランスがトップ」とよく言われるけれども、生産性を含めたさまざまな指標で評価するとスイスが一位になる。で、その理由の一つは空港と鉄道が一致しているから。チューリッヒ空港に降りると、その地下からTGVでジュネーブまで行ける。圧倒的に便利だ。関西圏でも、そうした移動のしやすさがすごく大事になると私は思っている。そのあたり、京阪さんとして「関西ではこうあるべきだ」といったお考えがあれば皆でシェアしたい。

下條:非常に難しい問題で(笑)。一般論としては、当然ながら京都と関空ができるだけ速く、大きなパイでつながるのは良いことだと思う。ただ、我々は現在、関空から京都までのリムジンバスも出している。最終目的地が京都のどこにあるかというのも大きな問題だと思うけれども、バスであれば関空からその目的地に直接行けるという便利さがある。そんな風に、選択肢はいろいろあると思うけれども、ただ、一般論として今は大変不便だということも言えると思う。

星野:関空-京都間は、今は75分ぐらいか。これも須田さんが言っていたプロモーションと関係しているが、外国の方は意外と関空の良さを知らない。知らないと関空に対する需要も増えないので便数も増えない。今はそういう悪循環になっていると感じる。空港の機能性をプロモーションすることもすごく大事だと思う。さて、ここで話題を戻して、福山さんに改めて伺いたい。福山さんとしては、ご自身の地盤でもある関西圏の観光客数倍増に向けて、どういったことが大事になるとお考えだろう。

福山:国全体で言うと、外国人観光客の方一人が5日間で落としてくださるお金は、平均13万円。一方、日本人の年間消費額が平均124万円ぐらい。ということは外国人10人が5日間滞在すると、だいたい日本人一人の年間消費金額になる。となると、1000万人が5日間滞在したら日本人100万人ぶんの年間消費額になると思って欲しい。そして今は2020年のオリンピックまでに2000万人という目標を掲げているわけで、200万人ぶんの年間消費額が落ちてくるということだ。少子高齢化のなかで、こういった消費の相乗作用があることは、一つの要素として重要だと思う。

そのうえで京都の話をしたい。たとえば別セッションで堀場(厚氏:株式会社堀場製作所代表取締役会長兼社長)さんがしていらしたお話なんて、まさに我が意を得たりだった(会場笑)。皆さまのお話を伺って今日は本当に気分がすっきりしているというか、「東京一極集中何するものか」という勇気を得た。ただ、京都は難しい。たとえば、今は祇園に行っても八坂神社の前は中国人の方と韓国人の方が大変多い。それを見て良かったと思っている京都の方もいるし、「ちょっと増えすぎちゃうの? 祇園を歩いていてもハングル語と中国語しか聞こえないよ」と言う方もいる。それで、「もういいよ。自分たちだけのコミュニティで、しっぽりと、本当に良いところでご飯を食べるんだ」という方々もいる。それで、「観光客はこっちで食べたらいいよ」といった住み分けが、なんとなく、心のなかにある。

今後京都を訪れる外国人観光客が増えていったとき、それがどんな作用をおよぼすかを考えていく必要がある。また、今日は外国人観光客の話ばかりになっているけれども、国内の観光客もいる。京都に来られた日本人観光客に、京都はどんなおもてなしを用意するのか。あるいは、すごくお金を持っている外国の方には須田さんのところでプロモーションしてもらうとして、途上国の中間層にはどういったおもてなしをご用意するか。そういったことが、京都としてはすごく大きな課題だと思う。観光客が増えるのはもちろん歓迎だけれども、その辺について市長がどう考えておられるかということも含め、京都を今後どうプロゼンテーションしていくのかという課題がある。

門川:我々は今新しい観光政策として、2020年までに191の事業をやろうとしている。それによって、たとえば外国人観光客の宿泊は過去最高で113万人だけれども、6年後には300万人にしたい。修学旅行生は110万人だから、そのおよそ3倍、外国人に京都で泊まっていただこうという明確な目標を立てた。そのためには宿泊施設や買い物環境がいる。あらゆる取り組みを、総力を挙げて進めていく。もちろん、ご指摘のような閉鎖的体質は京都にはあるし、ホスピタリティやおもてなしという面で相手の立場にきちんと立つことが大事だ。ただ、同時にお茶でも生け花でも、こちらのルールをきっちり分かってもらうというのもある。その敷居が京都の良さでもある。それを両立させていきたい。「敷居を超える方法を皆に学んでもらおう」と。

おかげさまで、これまで京都に5つ星のホテルはなかったけれども、星野さんのところにも来てもらうし、フォーシーズンズもザ・リッツ・カールトンもアマンもできる。観光振興計画で「世界に冠たる宿泊施設をつくる」と言ったら、京都の人にはだいぶ嫌がられた。でも、できた。そうしたら、ほかの施設もそれに合わせてバージョンアップする。こういう作用が今は始まっているのだと思う。それで新しく垢抜けしていくのではないかなと思うし、そうならなければいけないとも思う。

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福山:京都で政治活動を始めたとき、すごく印象に残ったことがある。とある古いお宅に挨拶をしに入ると、もう入り口のところに立礼のお茶が用意されていた。で、そのときはご主人が出てきてくださらなくて、代わりに奥様が「ちょっとお待ちください」とおっしゃる。それで座っていたら、いきなり和菓子が出てきた。これ、お茶の作法だ。私は若干お茶を嗜んでいたので、「あ、ありがとうございます。頂戴いたします」と、まず和菓子を食べた。そうしたら今度は当然お抹茶が出てきので、一応の作法でいただいて、「結構なお味でございました。いきなりお邪魔したのに、おもてなしいただいてありがとうございます」と答えたら、おもむろに奥からご主人が出てきた。それで、「お前、若いのにそのぐらいのことはできるんやな」っておっしゃった。たぶん合格ということだったようで、そこから話が弾んだということがある。

僕はこれを若い頃に経験して、「京都は怖いところだな」と思った。そのあとも、たとえば何かのお願いをしに行くと、京都の方は必ず、「お前、あそこに挨拶に行ったか?」「お前、あそこにちゃんと仁義切ってるか? 俺より先にあそこへ行っとけ」といったことをおっしゃる。正直、面倒くさい。「またか」と思う。お茶の話も、まず誰に挨拶をするかという話も、今の世の中の効率性を求める流れ、あるいは時間を短縮するといった世界からはまったく逆。一見すると、大変うっとうしい作業だ。

でも、それをやることで、実はいざ何かするとき、いきなり時間が縮まる。あとになってから、「お前、あのとき来なかったな」と言われるより、はるかに時間も短くなるし、皆さんを巻き込んでいろいろなことが実現する。京都の良さはそこにあって、それが長く続くコツだと僕は思う。それを観光客の皆さんに押し付けるわけにはいかないが、そういったことを含めた京都なりの良さも浸透させていかないと、ほかの観光地と変わらなくなってしまう。その付加価値の伝え方って、すごく微妙だ。観光の世界でお客さんを倍増させていくためにも、無味感想な世界を、今お話ししたようなちょっと味のある世界にしていくといった考え方が重要になると思う。

星野:なかなか難しい話題だった。ただ、京都は閉鎖的なところがあるというお話があったけれども、私が全国で仕事をしていて感じるのは、閉鎖的じゃないところはないという点だ(会場笑)。タヒチやバリだって閉鎖的だ。だから、これは人間の性質なのかなと思う。一方、京都のすごいところは神社仏閣が観光戦略に対して大変積極的な点だ。神社仏閣の方々まで、たとえば「オンシーズンではなくてオフシーズンで何かプロモーションしようよ」なんて、我々と同じようなことをおっしゃるから驚く。

※開催日:2014年10月18日、19日

→関西・観光客“倍増”計画 ~2020年に向けての挑戦~[3]は6/3公開予定

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