ファシリテーションの難所 

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組織力を高める上での肝ともいえるファシリテーションですが、上手くできる人は極めて少ないのが現状です。ファシリテーションを学び始めるとすぐに、その可能性の大きさを感じ、「身に着けたい」と強く感じると同時に、その難しさを知り立ちすくんでしまう人もいます。しかしこれは無理もないことです。ファシリテーションはいわば、「コミュニケーションに関する全てのスキルを統合した、最高難度のスキル」と言えるものだからです。

超えられない二つの壁

特に多くの方が二つの壁に直面します。一つは、自分にとって新しい課題、よく知らないメンバーとの議論をリードできないということ。自分がリーダーを務めるチーム内の話であれば、自分もそこで議論されることについてよく知っているし、話し合うメンバーも気心が知れているので話をまとめることができる。しかし関係部署との調整など自分とは考え方や立場が異なる人々と議論をする場面や、新しいプロジェクトでこれまでに経験したことがない問題・課題について議論をリードすることが必要になると、途端に上手く行かなくなってしまいます。「相手の感情や事情にも配慮しながら、なんとか落としどころを探ろうとするのだが、なかなか相手が意見を変えてくれない」「議論が迷走してしまい、何を議論しているのかわからなくなる。結果、何も決まらない」「一応結論をつけ、会議の場では合意したはずなのに、その通りに動いてくれない」といった問題が発生します。

もう一つは、自分がよく知っている課題、常に接しているメンバーとの議論、特に部下との会話において、本当に相手の意見を引き出すことができない、一見、話を聴いているようで、実は本当に相手の話を聴くことができないということです。そうしようと思っているわけではないのですが、結果的に自分の意見を押し付けてしまい、相手に腹落ちさせることができない。この悩みは、自分で問題を認識していなかったり、部下の問題と捉えてしまっていることも多く、より根深い深い問題と言えます。

テクニックと姿勢だけでは上手く行かない

ファシリテーションやコーチングに注目が集まるようになり、様々な書籍も出版されるようになりました。このため「傾聴の姿勢」「拡散と収束」といった考え方や、「アイスブレイクの手法」「議論を整理するためのフレームワーク」「出てきた意見を描くファシリテーショングラフィックスの技法」なども広く知られるようになってきました。こうした考え方・手法はどれも重要なものです。しかしこうしたことを学んでも、実際のファシリテーションの場面ではなかなか上手くいかない、という声をよく聞くのもまた事実です。

たとえば、
・まずは「受けとめることが大事」ということで、発言に対し「そうですね」と受けとめているが、そのままだと議論が拡散してしまい方向性を見失ってしまう。いざ収束させようとすると強引なまとめになり、かえってメンバーの反発を受ける
・いろいろ出てくる意見をよく聞こうとするが、聞けば聞くほどいろんな意見、いろんなレベルの話が入っていて、いざ整理しようとしても上手く整理できない
・議論を整理するのに便利な「フレームワーク」を使ってみたが、意見はある程度整理できたものの、そこからどう議論を進めていけばいいのかわからなくなってしまう。もしくはフレームワークにメンバーが上手く乗ってくれず、かえって発言が出なくなったり、議論が混乱してしまう
・それぞれの発言に対して丁寧に受け答えをしていると、特定の人と自分の会話になってしまい、他の人が退屈そうにしている
・いつのまにかファシリテーターがメンバーを「説得」する状況になってしまう
・いろいろ議論をして、なんとかまとまりそうになった瞬間に、「そもそも・・・」という意見でそれまでの議論がひっくり返ってしまう

ファシリテーションに臨むうえでの心構えやコミュニケーションのテクニックは確かに必要かつ重要ですが、それだけではダメなのです。ではどうしたら良いのでしょうか?

次回は3月26日に掲載します。

(本稿は、グロービス経営大学院のサイト上に2007年12月に掲載された内容を、再掲するものです。既掲載分である第7回までを毎週木曜日に順次掲載のうえ、4月16日からは、いよいよ続編を開始の予定です。どうぞお楽しみに)

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