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限られた時間だからこそ効果的!?オンラインMBA卒業生の学び方

投稿日:2017/06/08更新日:2019/04/09

2014年から始まったグロービス経営大学院のオンラインMBAプログラム。出張が多い、海外勤務をしている、子育てをしている等々の理由で通学が難しい方を中心に、多くのビジネスパーソンが学んでいる。今回、このオンラインMBAプログラムを卒業した1期生の3人の女性(いずれも子育て中)に、なぜオンラインでMBAを学んだのか、仕事・育児・勉強をどう両立させ、どんな成果が得られたのか等々、話を伺った。

<参加者>

久保 彩さん: コンサルティングファームで企業戦略を担当。家族は夫と小学2年生の息子。受講を始めたときは、夫の海外転勤に伴い仕事を辞め、家族でシンガポールに住んでいた。

長谷部 愛さん:人材育成コンサルティングファームでシステムの開発管理を担当。家族は夫と高校2年生の息子と小学3年生の娘。受講を始めるタイミングで夫が単身赴任になる。

道畑 沙織さん: 電機メーカーのマーケティング部門で商品開発を担当。家族は夫と1歳の息子。在学中に妊娠、出産して退院した日の夜にクラス出席して伝説(?)に。

なぜオンラインでMBAを学ぶのか?

知見録: なぜ、通学ではなくオンラインでMBAを学ぼうと思ったのでしょう?

久保: 当時シンガポールに居て、いろんな制約の中で精一杯チャレンジできるのは、これしかないと思ったからです。シンガポールに行く前は、何か新しいチャレンジができるかもと期待していました。しかし、実際は子育ての時間が日本以上にかかってしまい、私の期待は見事に外れました。本当にこれは自分が望む道なのかと、ずっと悶々としていたんです。

そんなとき、たまたま夫経由で、グロービスのオンラインMBAが開校する、という案内を入手しました。新しいことをやりたいという私の思いと合致するし、これはめぐり合わせなんじゃないかと思って受講を決めました。

長谷部: 下の子を出産した頃、友人がグロービス経営大学院に入学したんです。その生き生きした姿に影響を受け、育休中にMBAの本を読んだりして私もいつか学んでみたいなぁと思ったのが最初のきっかけです。それから少し経ち、グロービスでリアルタイムのオンラインプログラムが始まるという情報を入手しました。仕事でeラーニングのシステム開発をしていることもあり、リアルタイムでどうやって授業をするのか興味があって、体験クラスに参加してみたんです。そこでのライブ感は私の想像を上回るもので、すぐに「マーケティング・経営戦略基礎」を単科生として受講しました。

実際のクラスはケースメソッドといわれるものでした。ある企業の題材を元に、事前に自分の考えをまとめておきます。当日は、その考えをまずは誰かがプレゼンし、それを元にチャットなどを活用してディスカッションする形式です。自分の考えに対して多くの人からフィードバックをもらえますし、いろいろな人の視点や表現を知ったうえで「いいとこどり」をすることもできます。「これは新しい学び方かもしれない、むしろオンラインの方が学びを深められるかもしれない」という手応えを得て、本科生としての入学を決意しました。その頃、夫が単身赴任になり、夫婦共有のパソコンを独占できるようになったのも良かったです(笑)。

道畑: MBAを考え始めた 1番の理由は、キャリアチェンジをしたかったからです。技術者として開発や設計をしていたのですが、本当は商品企画をしたいという思いがありました。しかし、開発や設計から企画というのは、求められるスキルセットが大きく異なります。ビジネス的な視点を身につけないと価値が発揮できません。そこで、私もグロービスに通って視野を広げよう、必要な知識を身につけようと思ったんです。

ホームページを見て情報収集していると、オンラインのプログラムが始まるという案内がありました。私は職場も自宅も郊外にあって通学が大変なのと、後々子供も欲しいなと思っていたので、オンラインの方が自分のライフスタイルやライフイベントに合っているなと思ったのが、オンラインMBAを選んだ理由です。

家族や職場の反応は?

知見録: 家族の反応はどうでしたか。

道畑: 夫は「やりたいことはやった方が良い」と思っていたようで、反対はされませんでした。ただ、3か月程度で終わると思っていた様で、「いつまで続くの?」と言われることはありました(笑)。平日は子供を寝かしつけてから受講をしていましたが、週末は主人や両親に子供を見てもらっている間に受講したので、家族の支えには感謝しています。

長谷部: 夫からは基本的には反対されなかったです。とは言えお金がかかる話なので、教育訓練給付金の枠が拡大してお金が戻ってくるという話はしました。

息子は多少驚いたようです。ちょうど高校受験の時期だったので、「自分だけがしんどいわけじゃない」と、八つ当たりする理由を作らせない効果はあったと思います(笑)。娘はまだ幼稚園生だったので、娘の寝室で受講し、娘はそれを子守歌みたいに聞きながら寝ていました。

久保: 夫は、単科で1、2科目受けるだけなら時間もお金もそれほどかからないと思っていたようなので、私が2~3年かけてMBAを取りたいというプランを持ってきた時には、多少驚いたみたいですね。そこで、メリット・デメリットを表にして、これからの私のキャリアにもすごく効くし、学ぶ姿を見せるのは子供にも良いからと説得して入学しました。

知見録: 職場の反応はいかがでしたか?

道畑: 私と同じように自分のスキルセットに漠然とした不安を抱えている人は多く、「私も気になっているんだよね」と言われることもあります。なので、グロービスで学んだことをベースに職場で勉強会をしたこともあります。

長谷部: 最近、上司にカミングアウトして、すごくびっくりされました。ただ、上司も「クリティカル・シンキング」のクラスを受けたことがあったらしく、「行きたくなる気持ちはよく分かる。仕事に還元してね」と言われました。

久保: シンガポールから東京に戻ってきて今の会社に転職する際、面接でPRになると思ったのと、多少時間的な懸念もあったので、あえて在学中だと伝えました。最後の役員面接のときに「我々はプロのコンサルタントだから、お客さんから明日出せと言われたら徹夜でもやる、だから在学中であることは言い訳にしないでほしい。本当だったら終えてから来てほしいけど、途中というのは考慮して一緒にやりましょう」と、ちょっとだけプレッシャーを与えられました。

ただ、入ってみると上司や同僚に海外MBAを持っている人が多く、理解はあると感じています。例えばプロジェクトリーダーから、「並行してビジネスの勉強もしているのでキャッチアップが速い」というフィードバックをもらえることもありました。

知見録: なぜ転職したんですか?

久保: 元の会社もすごく好きで、もし戻ったらこういうことをやろうという計画もたくさんありました。ただ、オンラインMBAにいる多様な仲間と共に学ぶうちに、イメージが前の職場とずれてきた感じがしてきたんです。うまく言葉では言えないのですが、戻った時の自分がイメージできなくなってきたのです。それよりも、もう少しスピードアップしていろいろな業界を知れる仕事をしたい、という思いが強まって転職に踏み切りました。

時間が限られるからこそ集中して取り組める

知見録: 仕事も家庭も大変な中で、勉強する時間はどうやって確保しましたか?

長谷部: 育児、家事、仕事、勉強のうち、育児はあまり時間短縮できないので、家事の時間を短縮する工夫をしています。ネットスーパーを利用したり、ルンバや洗濯乾燥機などの家電に頼ったり。同じ悩みを抱える学生間でそういった知恵を持ち寄るFacebookグループがあって、そこでの情報も活用しています。

久保: 家族のスケジュールを共有カレンダーで管理しています。仕事も子育ても勉強もやろうと思うとタイムマネジメントが重要になります。家族の理解を得て勉強時間を確保するためにも、私が何をやっているのか家族がわかるように意識しています。あとは、スマホやiPadにケーススタディの資料を入れておいて、隙間時間でもチェックできるようにしていました。

道畑: 私の場合、通勤が長いので電車でケースを読んだり、職場で朝ごはんを食べる時間を予習時間に当てていました。時間が限られているからこそ集中力が高まる気がします。

長谷部: 私は、昼休みにケーススタディを一通り見て考えをメモしておき、後でそれを提出用に仕上げていました。あと、1人だとどうしても勉強がはかどらないときは、昼休みにパソコンを持ってハンバーガーショップに行き、仲間とオンラインでつないで勉強会をしたこともあります。

久保: 仲間の力を借りるという観点では、私はその習慣が今も続いていますね。仕事で気になることがあったら、その業界に詳しいクラスメートにメールしておいて、昼休みに電話してパパッと片付けてしまう。今までだったら取れなかったような業界の知見や生の情報がその気になれば一瞬で取れるようになったのも、大きな効果ですね。

教員より:キャリアに対する真剣な悩み×物理的制約=オンラインMBA

「もっと今の仕事の幅を広げたい」「キャリアを変えたい」という思いを抱えながらも、キャンパスのある場所まで通うのが難しい、そもそも家から出ることが無理・・・といった事情で、必要なスキルが得られていない人は多くいるのではないでしょうか。今回のインタビュー対象となった3人の女性たちはまさにそのような方たちです。

もちろん、学び方は様々です。動画を見て勉強する、といったやり方もあるでしょう。しかし、長谷部さんが語った「ライブ感」というキーワードは、学びの効果や刺激を高める上で極めて重要なポイントだと考えています。ライブ、つまり「今ここにしかない瞬間」だからこそ、皆が真剣勝負で学び合うコミュニティが出来上がるのです。
(オンラインMBA責任者:荒木博行)

※後編はこちら>>

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