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『コンセプトのつくり方』―その手があったか!を発見するために 

投稿日:2017/03/04更新日:2019/04/09

ビジネスプランを描く際には、まず外内部環境を分析した上で事業機会を発見し、発想力を駆使してビジネスアイデアのオプションを広げて検討する。スクリーニング後、「コレ!」というアイデアを拾い上げ、コンセプトやビジネスモデル、基本戦略を描いていく。続いて、マーケティングやオペレーション計画、スケジュールや組織体制、財務予測に落とし込んでいくというのが基本のパターンだ。

一連の流れは、マニュアルに沿って進めていけば迷わずに描ける要素と、最も難しく且つ他のすべての要素に影響を与えるインパクトのある要素に分けることができる。後者が「アイデア」と「コンセプト」だ。

アイデアについては『読み返すたびに新たな気づきがある―『アイデアのつくり方』をぜひ参照いただきたい。コンセプトとは、「誰に」「どんな価値を提供するのか」というシンプルな2つの要素で決まる。前述の基本パターンにおける他の要素は「具体的にどうやるか」にすぎない。つまり、コンセプトが決まらないとプランも描けないし、コンセプトが変わればプランの全てが変わるとも言える。

陥りがちな罠としては、コンセプトが変わっているのに、顧客やマーケティングを当初想定のまま置いていたり、逆にマーケティングや詳細プランは変わっているのにコンセプトが元のままという状況だ。つまりコンセプトとは、ビジネスプランの全体に影響を与える要素なのだ。

さて、本書はビジネスプランの根幹であるコンセプトの描き方に絞って、身近な例を用いながらその考え方を紹介した本だ。『アイデアのつくり方』と同様に厚さ約10mm、1時間強で読めるコンパクトなサイズにエッセンスが凝縮されているので(サイズもほぼ同じ!)、合わせて持っておくとよいだろう。
    
著者は、コンセプトを経験的世界という暗闇から物事を照らし出す「サーチライト」である、と言う。古いコンセプトが照らしていた範囲のうち、その商品やサービスから外せない要素を残した上で、サーチライトをずらしたのが「新しいコンセプト」であり、新旧の重ならない新しい範囲が「新しい常識」の部分と言える。加えて、マネジメント軸(客観的で論理的)とコミュニケーション軸(主観的で感覚的)を交差させたシンプルな「十字フレーム」という方法でビジネスプランを整理している。

斬新なコンセプトが出来上がった際に注意したいのは、直感的に「なるほど」感があるものの論理的に考えると満足しきれないジレンマを乗り越えることだ。「本当にそれは正しいか」「他に『正解』があるのではないか」「データで証明できるか」と質問を浴びせ、せっかくの斬新さを潰してしまうことを避けなければならない。正解とは、今の常識に従っているだけのこととも言える。今の常識で得をするのは業界トップ企業であり、2位以下がトップと同じ「正しい」戦いをしていたら成果が上がるはずがない。トップ企業もまた常識に固執しあぐらをかいていると他社による新しい常識の誕生を許してしまうだろう。

これまでの常識に囚われず、「その手があったか!」というビジネスを開発してみたい方へオススメの本だ。

 

『コンセプトのつくり方』
山田壮夫 (著)
朝日新聞出版
950円(税込1188円)

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