読み返すたびに新たな気づきがある ―『アイデアのつくり方』 

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「アイデアってどうしたらたくさん出せるようになるんですか?」

筆者が担当するクリエイティビティの講義で最も多い質問であり、多くのビジネスパーソンは、この問いに一度は頭を抱えたことのあるのではないだろうか。

世の中にはいわゆるアイデア本と言われる書籍が溢れている。Amazonで検索すると、ざっと1万冊は超える書籍がヒットする。分厚い本から、インパクトのある装丁の本まで様々な本がある中、共通して言っていることが1つだけある。それが、この厚さ8㎜の本『アイデアのつくり方』に詰まっている。たった1時間でアイデアや課題解決のための原理原則を教えてくれ、しかも1000円もしないというコストパフォーマンスの高い1冊なのだ。

本書は1940年、アメリカの大手広告代理店でコピーライターをしていたジェームズ・ウェブ・ヤング氏によって執筆された、“Technique for Producing Ideas”を原著としている。時を経ても色褪せることがないのが、原理原則本の特徴でもある。

単純明快に言ってしまえば、「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」ということである。つまり、アイデアは一握りの天才(例えばスティーブ・ジョブズのような)が生み出すものではなく、誰にでも生み出すことができるのだ。アルベルト・アインシュタインはこれを直感と呼んでいる。本書では、「知識はすぐれた創造的思考の基礎ではあるがそれだけでは十分ではない。知識は、よく消化されて、最終的に、新鮮な組み合わせと関連性をもった姿となって心に浮かび出てこなければ意味がない」と言っている。

では、アイデアをつくるにはどうすればよいのか?本書では5つの段階に分けている。

1) データを集める
2) データの咀嚼
3) データの組み合わせ
4) ユーレカ(発見!)の瞬間
5) アイデアのチェック

このシンプルな公式を見ると、簡単なことに聞こえるだろう。しかし、実際には相当な知的労働が発生することになる。

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そこで筆者が推奨したいのは、組み合わせのパターンを増やすために、まずはデータの量を増やすということだ。アイデアが出ないと言うケースで、圧倒的に足りないのは第1段階のデータ収集であることが多い。学習とは新たなデータ(知識)を得るための活動であり、実はアイデアを生み出すための第1段階を行っているのである。異業種や多様性あるメンバーで雑談するのも良いだろう。その際に、それぞれのビジネスについて質問しあうことがデータ収集の1つとなる。そして、第2段階で咀嚼する際には、データを構造的に理解しておくことが大事である。表層的な言葉ではなく、ビジネスモデルや因果関係を理解する。そして、第3段階では、アイデアが必要な領域との構造的類似性を探しながら、ダイアルロックを回すように様々な組み合わせパターンを類推していくのだ。

そして、特に難しいのは最後のアイデアのチェック段階であり、アイデアが「単なるアイデア」で終わってしまうことの多くは、ここを通過できないことにある。そのアイデアが実際に威力を発揮する現実世界に適合させるために忍耐強く、手を加えていく必要がある。

上記は筆者自身にとっての原理原則の活用の仕方であるが、このように、「自分にとっての原理原則」の核となる本を持つことをお勧めする。かく言う筆者は、本書を手にした時にその効果を実感し、毎年読み返しており、もう16年になる。そして、必ず読むように、裏表紙に日付を入れている。面白いことに、毎年読むたびに目に留まるポイントが異なる。それは、本の内容は変わらないが、読む側の環境が変化しているからである。原理原則は、いかなる環境変化が起ころうとも自分の指針となる。皆さんも自分にとっての原理原則となる本を持ってみてはどうだろう。

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