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起業家と変化適応型人材のタッグで社会に新陳代謝を起こせ

投稿日:2017/02/20更新日:2019/04/09

国際的な競争力を高めるためにグローバルな産業を育てることだけが有効なのではない。国内の産業においても、限られた資源をより最適化して効用を最大化することが国家全体の競争力育成の観点でも有効な一手になる。

ランサーズの場合

インターネット上で仕事を仲介するクラウドソーシング大手であるランサーズ(東京・渋谷)は秋好陽介氏(34)によって設立され、2008年のサービス開始以降、全国各地に36万人を超える労働者を登録者として抱えている。14年末には携帯キャリアや人材関連、インターネット関連の事業会社などから約10億円の資金調達を行い、事業提携すると発表した。

秋好社長は「労働者に対する働き方の変革や多様性の提供、クライアントに対するオープンイノベーションの加速、仕事の再分配による地方の雇用創出という社会課題を解決したい」という。

そのためには、どれだけユーザーのためになるサービスを展開できるかというユーザー第一主義が重要だ、と秋好社長は指摘する。

創業当初は、日本初のサービスゆえに決済代行会社から許可が下りなかったり、対面でコミュニケーションする日本文化に基づく商習慣の違いにも戸惑ったという。

しかしランサーズの社員をみても元クライアントである経営者出身者やフリーランス経験者も多数在籍し、テレワークの従業員もいる。「ユーザー目線を持った組織を構築しつつ、現状の顧客満足にとどまらず、さらなるイノベーションを起こしていきたい」と秋好社長は今後の展開を語る。

リノべるの場合

人口減の環境下で、住宅の過剰供給も社会問題化している。空家総数820万戸、空家率13.5%であるにも関わらず、毎年80万戸以上の新築住宅が供給されている。

この社会問題を解決するために山下智弘氏(41)は10年4月、リノベる(東京・渋谷)を設立した。創業から約5年の現在、リノベーションに関わるプロデュース業界の最大手に成長し、同氏はリノベーション住宅推進協議会の理事を務める。

山下社長は「我々はライフスタイルに合わせた多様な価値観と誇りを持てる家を新築住宅に比べて3分の2程度の低価格で提供している。消費者には他の暮らしを豊かにすることへ投資したり、自分の意思で設計した愛着のある家を次世代に引き継いで行ってほしい」と語る。

他方、住宅業界を見ると、中古住宅を取得しリノベーションを行うことは、従来の新築住宅をつくって販売するというビジネススキームに比べると手間暇がかかる上、売上単価も低いため変化を恐れてしまう事業者も少なくないという。

大きな買い物をする消費者にその価値を正しく伝えていくためにも、米国のようにリノベーション物件も含めた住宅投資が資産価値に反映される評価体系を築き、行政とも協力しながら業界全体で収益配分を最適化する仕組みが重要だ、と山下社長は指摘する。そのためには不動産、建設、金融と広い知識を持ち、変化に適応しつつ新しい価値観をつくり出すことができる人材が必要となるだろう。

時代が変われば問題も変わる。環境変化に伴う産業の新陳代謝を促すためには、大局的に実現したい世界観をみずから構想できるリーダーシップある起業家の下、変化を恐れず新しい価値を推し進める人材を集め、既存事業者や行政とも適切な協力関係を構築していくことが重要だ。

(2015年7月2日付け日経産業新聞の記事「VB経営AtoZ」を再掲載したものです)

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