【2017年への提言】能力開発は自己責任の時代が始まる(村尾佳子) 

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2017年はどのような年になるのか、どのような年にしたいのか――。グロービス/グロービス経営大学院のリーダー陣10人が、それぞれの視点から展望と提言を語る。(企画・構成: 水野博泰=GLOBIS知見録「読む」編集長)

「人財」と言うように、企業において人は競争力を生み出す「資産」だと考えられてきた。しかし、今やそれが「負債」になりかねない状況にある。ロボットやAI(人工知能)、いろいろな情報ツールや先進サービスによって人間の仕事の、すべてとは言わないまでもその多くが代替されつつあるからだ。

もちろん、これまでも機械化やOA(Office Automation)などによって、仕事の中身や必要とされる能力は大きく変わってきた。企業はそういう時、従業員の再トレーニングを行い、新しいスキルを身に付けさせたり、配置転換を行ったりして変化に対処してきた。だが、今起こっている変化はあまりにも急かつ大で、会社頼みの再教育や再配置には限界があることが明らかになってきている。

こうした流れから必然的に導かれるのは、「能力開発の自己責任化」である。既にその兆しは見えてきているが、2017年はその幕開けの年になるだろう。

週休3日制は、新たな働き方のスタイルやチャンスを生み出す契機になるかもしれない。会社員の兼業規制が緩和されれば、複数の仕事を持つパラレルキャリア的な働き方が当たり前になるかもしれない。働き方の選択権がどんどん広がり、働くということの価値観が大きく転換していくだろう。

だが、それは選択権を持てる人に限る。選択権は外部環境が大きく変わったとしても、いかようにも対応できるスキルと能力を持った人だけが持てる。そのためには学ばなければならない。会社が当てにできないならば、自分で学ぶしかない。学び続けるしかない。

だが、学び続けるということは決して楽な選択ではない。学びのエネルギーはどこから生まれてくるのだろうか――。私は、「未来を考える力」と「自分の可能性を信じる力」だと思う。5年、10年先を想像し、その未来において自分は何をしたいのかという考察をする。そうすれば、今、何をすべきかが見えてくる。健全な危機感が学びの駆動力になる。

逆に、最悪なのは、インド商科大学院の初代学長スマントラ・ゴシャール氏が言う「アクティブ・ノンアクション」の状態、つまり、毎日多忙だが長期的に見ると大した価値を生み出していないというループに陥ってしまうことである。目の前にある仕事を懸命に片付けているだけで、学ぶことをしていないビジネスパーソンは、これからの時代の変化についていけない。

考えてみてほしい。医療が発展して人間の寿命は確実に伸びていく。健康寿命も労働寿命も伸びるだろう。70歳、80歳まで働くことが珍しくなくなり、年金給付開始年齢はどんどん上がる。「定年」という制度も見直されるだろう。今20代のビジネスパーソンの多くがそんな時代を働き抜くことになる。その間、会社は社員を最初から最後までずっと守り続けることはできなくなるだろう。30代、40代、50代だって変化の洗礼は免れない。

怖がることはない、諦めることもない。ダイナミックな変化とエキサイティングな未来を楽しむために、学び続ける覚悟を決めよう。
 

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