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キャッシュ・フロー計算書作成のよくある質問「なぜ、減価償却費を加算するの?」

投稿日:2016/12/06更新日:2022/03/04

キャッシュフロー 読み方

前回のコラムでキャッシュ・フロー計算書(以下、CF計算書)の読み方の3つのポイントを解説しました。多くの方はCF計算書の作成に携わることはないと思いますので、このCF計算書を読む際のポイントを理解しておけば十分だと思います。今回は、作成の際によくある質問について紹介します。

キャッシュフロー計算書の作成

CF計算書の作成について質問を受けることも少なくありません。よくあるのが、「減価償却費を加算するのはなぜか?」という質問です。CF計算書の営業キャッシュ・フロー(以下、営業CF)を計算する際に、税金等調整前当期純利益(以下、税前利益)に減価償却費を加算します。一般的な説明では、「減価償却費は、費用は発生してもおカネは動いていないから足し戻す」とされています。これはもちろん間違いではないのですが、質問者の多くは、「なぜ、おカネが動いていないのに足し戻すのか?」という点に疑問を持つようです。おカネが動いていなければ加算もしなくて良いのではないか、ということですね。

事例で解説:税引前利益を営業CFに読み替える

これは、CF計算書の作成方法に原因があります。多くの会社は、「間接法」という手法でCF計算書を作成しています。間接法とは、P/LとB/Sの数字から間接的にCF計算書を作成する手法です。CF計算書の営業CFの計算は、P/Lの税前利益からスタートしていることが特徴的です。例えば、以下の場合を考えてみましょう。

この場合、会社が得たおカネは100です。ところが、間接法によるCF計算書では(税前)利益40から計算が始まります。営業CFの計算は、言わば(税前)利益を営業CFに読み替える調整計算です。つまり、何も調整を入れないとすると(税前)利益がそのまま営業CFとなってしまいます。この例では、営業CFが40となるのです。お気づきのように、営業CFの計算が、おカネを支払っていない減価償却費が控除された(税前)利益からスタートするため、おカネの出入り額に調整するためには減価償却費を足し戻す必要があるという訳です。

減価償却費に限らず、減損損失や賞与引当金などのおカネの動きを伴わない費用も同様に営業CFの計算では加算されます。このようにお金の動きを伴わない費用のことを「非資金費用」と言います。

  • 溝口 聖規

    グロービス経営大学院 教員

    京都大学経済学部経済学科卒業後、公認会計士試験2次試験に合格し、青山監査法人(当時)入所。主として監査部門において公開企業の法定監査をはじめ、株式公開(IPO)支援業務、業務基幹システム導入コンサルティング業務、内部統制構築支援業務(国内/外)等のコンサルティング業務に従事。みすず監査法人(中央青山監査法人(当時))、有限責任監査法人トーマツを経て、溝口公認会計士事務所を開設。現在は、管理会計(月次決算体制、原価計算制度等)、株式公開、内部統制、企業評価等に関するコンサルティング業務を中心に活動している。 (資格) 公認会計士(CPA)、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、公認内部監査人(CIA)、地方監査会計技能士(CIPFA)、(元)公認情報システム監査人(CISA)

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