ダボス会議5日目。今日は、「ジャパンの日」と言ってもいい。3大臣がそれぞれ別のセッションに登壇される予定だ。甘利明さんが「日本の経済」(Japan's Future Economy)のセッション。塩崎恭久さんが「家族」(Fast-Forward Family)のセッション。そして、河野太郎さんが「インテリジェンス・サービス」(The Role of Intelligence Services)のセッションだ。甘利さんと塩崎さんが同時登壇なので両方出られないのが残念だ。
3大臣の前には、黒田東彦日銀総裁が登壇される「世界経済の展望」(The Global Economic Outlook)のセッションもある。3大臣と日銀総裁が登壇される日となる。10時半から黒田さん、11時半から甘利さん・塩崎さん、13時から河野さんという流れだ。最終日になって、日本のプレゼンスが高くなってきた。
今年のダボス会議では、日本についてはあまり語られることが無いが、マイナスなイメージは伴っていない。中国はよく語られるが「問題」として出てくる場合が多い。日本人の登壇者は少ないけど、会場から発言すれば良い。今年、日本はG7の議長国だ。今日もガンガンに発言して、存在感を上げたい。
今回のダボス会議で心がけていることは、全ての会議・セッションで発言することだ。海外では遠慮は不要だ。今までのところ10回以上の参加セッションのうち、3回を除いてすべて発言できた。1回は質問の機会が無かったので終了後に登壇者に聞き、2回は手を挙げたけど指されなかった。
心強いのは、今年から一挙にG1世代の日本代表が増えてきたことだ。GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の水野弘道さん、森ビル副社長の森浩生さん、ローソン社長の玉塚元一さん、日本政策投資銀行(DBJ)取締役の富井聡さんなど。同世代の友達が増えて、とても頼もしい。僕らが日本を引っ張っていかないとね。朝食は、水野弘道さんと富井聡さんと情報交換をした。
さて、最終日の目玉は「世界経済の展望」セッションだ。日本の黒田東彦さん、IMF(国際通貨基金)のクリスティーヌ・ラガルド氏、英国財務相のジョージ・オスボーン氏が登壇。モデレータは、Financial Times紙のマーティン・ウルフ氏だ。
世界経済の3つのインパクトとは?
1) 中国(3つの変遷: 輸出から国内、製造からサービス、投資から消費へ)
2) 原油を含む資源価格の下落
3) 中央銀行の非同期的な政策(その結果新興国から先進国、特に米国にお金が還流している)
風景が変わったという見方が出た。欧州にとってのリスクは、1)英国離脱、2)難民問題だとラガルド氏。
日本にとって注目のセッションが始まった。甘利大臣が参加される「日本経済の未来」だ。日本からは、サントリーの新浪剛史さんもご登壇。右はアダム・ポーセンさんだ。
渦中の甘利さんに対して、ダボス会議らしからぬモデレータからの質問があった。ダボス会議は、グローバルな問題を解決するために意見交換する場だ。個人的な質問がされたのには閉口した。
ランチタイムは、3大臣を交えた非公開の「ジャパン・ランチ」だ。世界の頭脳が集まり、3大臣と意見交換をしていた。甘利さんが総理からのメッセージを読み上げ、塩崎・河野両大臣が流暢な英語でスピーチをした。この場の参加者、内容、写真の発信は遠慮しました。
日本のプレゼンスを上げ、日本の考え方を主張し、多くのグローバル・リーダーと交流された甘利、塩崎、河野の3大臣には、「お疲れ様でした。本当にありがとう」とダボス会議参加の日本メンバーの一員として言いたいです。
ダボス会議の場で国際的な世論が形成される。この場にいないということは、日本の主張が国際世論に反映されないことを意味する。継続的に大臣クラスが参加されることを期待したいです。
今回、米国も本気でダボス会議に臨んできた。ジョー・バイデン副大統領、アシュトン・カーター国防長官、ジョン・ケリー国務長官、そしてジェイコブ・ルー財務長官だ。すごい陣容だ。英国からはデイビッド・キャメロン首相。さらに、国連事務総長、世界銀行総裁、IMF(国際通貨基金)総裁などが参加された中、日本からも3大臣が来られたのは有意義だった。
僕ら民間も頑張ります。9回目のダボス会議。グローバル・リーダーの末席を汚すところまで来た気がする。
そして、ダボス会議が閉幕だ。今年も本当に多くの収穫を得られて、とても有意義だった。
2016年1月23日
ダボスにて
堀義人
https://globis.jp/article/3928